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マルチメディア1  5月 14日 15:40〜16:40(第1会場)
【 司会 】 山本 保博  (日本医科大学救急医学)
   渡辺 克益  (東京医科大学形成外科)
コメンテーター 宮川 哲夫  (昭和大学医療短期大学理学療法学科)
三上 真弘  (帝京大学リハビリテーション科)

演題番号:M4 熱傷における呼吸理学療法
森川 亘、亘理 克治、荒木 外百栄、池田 弘人*、多治見 公高*、小林 国男*
帝京大学医学部附属病院リハビリテーション部、救命救急センター*
  当院救命救急センターで治療する熱傷患者は,そのほとんどが広範囲熱傷患者で気道熱傷を伴うことが多く,無気肺や肺炎などの呼吸器合併症を生じやすい。これらの改善を目的に当施設では呼吸理学療法を積極的に取り入れている。その方法として積極的な体位変換や,胸郭を圧迫し呼気流速を早めて痰を移動させる手技としてSqueezingを用いている。施行に際しては,胸郭に減張切開や移植皮膚が存在する場合には,医師と相談し施行可能か判断をしたうえで行っている。
  呼吸理学療法を実践した広範囲熱傷症例をビデオにて供覧する。症例は34歳女性,顏面から頚部,上肢にかけての34%熱傷。軽度の気道熱傷が認められたが,マスクによる酸素投与にて管理された。第7病日に右上葉に無気肺が認められ,改善,再発を繰り返した。第16病日に右上葉に加え,左下葉の無気肺も出現し,これらの改善を目的に呼吸理学療法が処方された。開始時はマスクにて酸素投与されており,自己排痰は十分にできず,さらに精神障害のため意志疎通が困難であった。呼吸理学療法の結果,第18病日には右上葉の無気肺が改善し,第30病日に左下葉の無気肺は改善した。
  このように広範囲熱傷患者に対し呼吸理学療法を導入しているが,まだ十分な適応の範囲は確立されておらず,さらに検討していきたいと考えている。
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