パネル2
5月 14日 14:40〜15:40(第1会場) 【 司会 】 迎 伸彦 (北九州総合病院形成外科) 安田 幸雄 (金沢医科大学救命救急科) |
演題番号:P7 | 高齢者熱傷における受傷部位と受傷原因の検討 |
中村 正也、迎 伸彦、江頭 通弘、西田 温子 | |
北九州総合病院救命救急センター・熱傷ユニット・形成外科 | |
【目的】 高齢者はその身体的特性から熱傷の受傷の仕方にも一定の傾向があるものと思われる。今回、われわれの施設で過去5年間に入院にて治療した65歳以上の高齢者熱傷に対し、受傷部位と受傷原因について検討を行った。
【方法】 北九州総合病院にて平成5年から平成9年までの5年間に入院治療を行った65歳以上の熱傷36例(男15例、女21例)について検討を行った。平均年齢は74.9歳、平均入院期間は58.4日であった。受傷部位は頭部・顔面・頸部、胸部、腹部、背部、右上腕、左上腕、右前腕、左前腕、右手、左手、右殿部、左殿部、右大腿、左大腿、右下腿、左下腿、右足、左足の18部位に分けて記載した。また、受傷部位は同じ範疇に属するものはできるだけまとめて記載した。 【結果】 受傷部位については両殿部、両大腿、両下腿、両足を含む下肢が57.6%、両上腕、両前腕、両手を含む上肢が23.1%、胸部、腹部、背部を含む躯幹が13.5%、頭部・顔面・頸部が5.8%であり、下肢が全体の約5分の3を占めていた。受傷原因では室内で転倒してストーブの上のやかんをひっくり返し中の熱湯をあびて受傷したものが36例中12例と全体の3分の1を占め、たき火・野焼の火が着衣に引火して受傷した6例、浴室内で転倒して熱湯やボイラーに接触したり浴槽内に転落したもの5例がこれに次いでいた。 【結論】 高齢者が熱傷を受傷する原因の根底には身体を支える力が弱く転倒しやすいということがある。また若年者に比べてとっさの場合の忌避行動をとりにくいということも遠因の1つである。高齢者熱傷を減らしていくためにはこのような高齢者の身体的・行動的特性をふまえて生活環境を整えていくことが肝要といえる。 |