パネル2
5月 14日 14:40〜15:40(第1会場) 【 司会 】 迎 伸彦 (北九州総合病院形成外科) 安田 幸雄 (金沢医科大学救命救急科) |
演題番号:P8 | 当院における野焼き熱傷の検討 −高齢者熱傷における重要性について− |
菊池 雄二、森岡 康祐、菊池 珠美、荒川 昌弘、岡垣 真寿美、仲沢 弘明*、佐々木 健司*、野崎 幹弘* | |
鹿児島市立病院形成外科、東京女子医科大学形成外科* | |
【目的】 野焼きとは、一般的に収穫後あるいは早春に、野で枯れ草などを焼く事を意味する。鹿児島県においては現在でもなお県下で広くこの野焼きが行われており、熱傷原因の主な一つとして挙げられる。今回、1994年12月より1997年11月までに鹿児島市立病院形成外科に入院した熱傷患者141名の原因を分類したところ、野焼きによるものが12例(8. 5%)含まれていたので、文献的考察を加えて報告する。
【結果】 本院の野焼きによる熱傷患者12例の熱傷面積は、O%(気道熱傷のみ)から97%まで様々であったが、年齢は、51歳から82歳(平均69.6歳)であり、全熱傷入院患者の平均42.0歳に比し非常に高齢であることが認められた。50歳以上では熱傷入院患者の17.9%、70歳以上では熱傷入院患者の25.0%が野焼きを原因としたものであった。さらに、患者の既往歴を見ると、脳血管障害、癲癇、高血圧などが高頻度に認められた。 【結論】 高齢化社会の進行にともない、地域性はあると思われるが、鹿児島県においては、野焼きは高齢者熱傷の主な原因の一つであり、その治療および予防が重要となっている。今後、地域に対する啓蒙活動を行ってゆき発生率の低下を計ることの必要性を痛感した。 |