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シンポジウム  5月 13日 15:00〜16:30(第1会場)
【 司会 】 森口 隆彦  (川崎医科大学形成外科)
   佐々木 健司  (東京女子医科大学形成外科)

演題番号:S1 熱傷後顔面高度変形の治療、「何が、どのくらい可能か?」
松村 一、菅又 章、神保 好夫*、今井 進*、渡辺 克益
東京医科大学形成外科、佼成病院形成外科*
【緒言】 熱傷後顔面高度変形の予防には、適切な初期治療が重要な事は言うまでもない。しかしながら、熱傷自体による組織欠損、瘢痕拘縮による高度の変形をきたしてしまった場合には、その再建に難渋することもしばしばである。頚部屈曲拘縮や手部・足部の拘縮などの主として機能的な障害をに対しては、植皮、各種皮弁の利用、開発によってある程度満足できる手術成績が得られる様になった。しかしながら、顔面、特に眼瞼、口周囲、鼻翼、鼻孔などの機能的障害に加えて整容的な障害の再建を必要とされる部位に対しては、未だに十分に成績が得られないことが多いという印象は免れない。

【目的】 今回、顔面、特に眼瞼、鼻部、口周囲の熱傷後の高度変形に対して、いかなる再建方法にて、どのくらいの再建成績が得られるのかを自験例を通じて検討した。

【対象・方法】 東京医科大学形成外科および佼成病院形成外科にて熱傷後高度顔面変形に対して再建術を施行され、術後経過観察のできた症例を対象とした。

【結果】 1)眼瞼拘縮:早期であれば拘縮除去、エステティックユニットにそった遊離植皮にて良好な結果が得られた。瞼板変形に対しては、変形部の切除、軟骨移植などの再建が必要であることもあった。
  2)口周囲の変形:口角変形、小口症に対しては、機能・整容とも、必ずしも満足のいかない症例が多かった。三次元的な拘縮の修正が困難であること、口輪筋、口角部に付着する筋肉の拘縮除去、再建が不十分となりやすいことが問題であると考えられた。
  3)鼻翼、鼻孔変形:単なる拘縮除去、植皮ではうまく行かない。しかしながら、完全な拘縮除去後に、nasolabial flap等の局所皮弁、局所皮弁と軟骨移植の併用または耳介よりのcomposite graftにて、ある程度満足できる結果が得られた。

【結語】 以上、われわれの経験した顔面熱傷後高度瘢痕拘縮後の再建症例のおいて、その成績を検討した。口周囲の再建には、手術術式の再検討が必要と考えられたが、眼瞼、鼻翼、鼻孔の修正は、おおむね満足のいくものであった。

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