病気の治療だけでなく、社会復帰まで考える視点

仮屋 茜さん 専門職学位課程2年(2021年6月)

もともと私はICU (集中治療室)で働く看護師でした。そ こで生死をさまよう重篤な患者さんたちを日常的に看るという 体験は、とても貴重でした。しかし次第に自分が、患者さんの個別性を具体的に社会背景等を考虛して、理解できていないと感じるようになりました。患者さんが抱えている社会的な背景、環境、家族構成や収入、年齢、性別といったさまざまな問題は、病気が治った後に戻っていく場所であり立場です。そうしたものも病気と切り離せないのではないか、患者さんが本当の意味で社会復帰するにはどうすればいいのかと考えるようになりま した。そんなことを考えていた時に一緒に働いていた医師が、公衆衛生学の存在を教えてくれたのです。

帝京SPHを選択した理由は、必修科目に疫学、生物統計学、社会行動科学、保健政策・医療管理学、産業環境保健学の5つの分野があったことです。国際水準のカリキュラムで、公衆衛生を学ぶ機会が広くいろいろな視点で設けられています。社会の仕組みや、そこから生じる健康問題をもっと知りたかった私にとって魅力的でした。また先生や学生には医療系、非医療系と多様な分野の方がいるので、さまざまな視点で医療を考える ことができます。私の課題研究は「新型コロナ陽性者のメンタ ルへルス」というものですが、担当の先生は、震災で被災された方のメンタルへルスを研究されていた方で、たいへん貴重なお話を聞くことができます。

帝京SPHでは1人の学生に先生が2人ついてくださいます。課題研究の先生と、もう1人はアカデミックアドバイザーという肩書きの、大学院生活における全体の相談役です。学生が研究や学業と生活を両立できるように、丁寧にサポートしてくださいます。

医療と公衆衛生の視点で、地域の健康に貢献したい

課題研究では、サブグループと呼ばれる先生方のチームが6人体制で3つあります。それらの先生の中で課題研究の発表をします。そこでは疫学や産業環境保健の先生もいらっしゃるので、多岐にわたる専門的な視点からサポートしていただくことができます。緊張もしますが、課題研究がより良いものになっていくという実感も味わっています。年に2回、中間と最終報告というのがあり、先生全員と学生の前での発表もありますが、サブグループ以外の先生もいますので、さらに多くの視点で研究を吟味していただくことができます。

将来の夢としては、特定看護師の免許を取って、医療的なケアと公衆衛生をかけ合わせたような、両方の視点から人の健康を守る存在になれたらと思っています。
障がい者、ホームレス、外国人、高齢者等、様々な立場の方がその人らしく生活が出来るよう、地域住民の方の人間らしい健康を考えていけたらと思います。

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