理学療法士と公衆衛生学は、思いのほか親和性が高い

美﨑定也さん (MPH2年コース2018年度修了)

以前から、私は臨床研究に携わる機会がありまして、論文を読むことも日常的にありました。しかしながら、近年、論文に記載されている統計解析が複雑になり、理解できないことが多くなったように感じました。このメッセージを読んでおられるあなたにも、そのような覚えはありませんか?

「生物統計をしっかり学んでみよう。」

それが、私が公衆衛生学大学院(SPH)で学ぶ、きっかけでした。

これまで、「ワンクリック統計(解析)」でやってきた私にとって、生物統計学の講義は、毎回が新鮮でした。同時に、自分の研究デザインの幼稚さを知ることになりましたが...
そこは、疫学が補ってくれました。講義や演習(そして、ガチな試験)を通じて、これまでの知識がブラッシュアップされました。

それから、私にとって新たな学びがありました。それは健康行動に関するさまざまな講義です。「人を動かす」ということは、病院勤務の私にとっても命題です。人の行動を変える様々なアプローチを学ぶことができただけでなく、全体を俯瞰するような意識を持つことができるようになったことは、目の前の患者から、全国の患者へと、仕事のスタンスを広げることにつながりました。

理学療法の領域でも「予防」へのアプローチが盛んになっています。高齢者に対する介護予防を筆頭に、産業保健や学校保健など、労働者や学生に対する疾病予防・健康増進が広がってきています。SPHで学んでいて、理学療法士が関われる領域をもっと増やせると感じました。

また、講義での学びだけでなく、医師、看護師、保健師、助産師、製薬会社のアナリスト、医療ジャーナリストなど、さまざまな業種の方々と知り合えたことも、その学びをさらに広げました。理学療法士の業界も、大学院教育は広まっています。そちらでは、理学療法の専門性を高めることはできますが、新しい学びとこれまでの理学療法士の経験をかけ合わせて創造できるポテンシャルは、SPHならではだと私は思います。

「生物統計を...」から始まった2年間は、私の視野を大きく広げました。SPHは私を変えたのです。「理学療法士×公衆衛生学」の仲間が増えることを期待しています。

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