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1. 熱傷の予後を左右する因子を4つ以上説明できる

【熱傷の死因】

  熱傷が死因となり得るのは、

  1. 熱傷ショック期:
     熱傷ショック期、適切な輸液が行われないとHypovolemic Shockとなり死亡する。かつて、熱傷ショック期の病態が良く理解されていなかった時期には、これが主たる死因となっていた。現在でも、広範囲熱傷の症例や受傷後熱傷治療施設に搬送されるまでの間に適切な輸液がされないとこの時期に死亡する。

  2. 気道熱傷:
     気道熱傷が死因となるのは、次の5点である。
    1. 上気道熱傷による喉頭浮腫
    2. 不適切な呼吸管理による気道閉塞
    3. 有毒ガスによる肺傷害
    4. ガス中毒(CO中毒・HCN中毒など)
    5. 肺炎の合併による呼吸不全

     いづれも、現在でも重要な死因である。

  3. 腎不全:
     腎不全は次の5つによって起こり得る。

    1. 熱傷ショック期の不適切な輸液によるHypovolemic Shockの持続
    2. Hemoglobinuria, Myoglobinuriaによる尿細管の閉塞、変性壊死
    3. 敗血症による多臓器不全の1分症
    4. 薬剤による腎障害
    5. 受傷前よりの腎不全、腎機能低下のある高齢者

      熱傷に腎不全を合併すると極めて予後が悪い。これは、水分管理・栄養管理が困難となり、感染源が増えることによる。

  4. 敗血症:
     現在の最大の死因である。熱傷創を無菌に保つことは不可能である。熱傷創が上皮化するまでは、創面は細菌の侵入門戸として開いたままである。したがって、出来るだけ早くに熱傷創を閉鎖するため、広範囲なIId〜III熱傷では早期植皮が奨められているが、それでも完全には敗血症を克服し得ていない。

  5. 多臓器不全:
      敗血症や肺炎、熱傷創感染、ショック離脱困難などのため肺・肝・腎傷害や血液凝固傷害、消化管出血などの多臓器の傷害がシステミックに起こってくる。この現象は、全身の過剰な炎症反応(SIRS:systemic inflammatory responce syndrome)として捉えられている。最終的には、この多臓器不全の病態を経過して死亡することが多い。


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帝京大学救命救急センター
Trauma and Critical Care Center,
Teikyo University, School of Medicine
鈴木 宏昌 (dangan@ppp.bekkoame.or.jp)
Hiromasa Suzuki, MD
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