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ヘモグロビン尿・ミオグロビン尿 ( hemoglobinuria/myoglobinuria )

【ヘモグロビン尿・ミオグロビン尿】

 火傷(flame burn)などによるIII度熱傷では、熱傷初期にしばしば赤色〜褐色の尿を見る。

  これは血管内の赤血球が直接熱の作用により破壊されhemoglobinemiaとなり、ハプトグロビンにより処理しきれず尿中に流出してヘモグロビン尿となったためである。ヘモグロビン尿と血尿(赤血球尿)の鑑別は簡単で、遠沈すれば後者では赤血球が沈澱し上清は透明(黄色)となるのに対し、前者ではいくら遠沈しても上清は赤色である。
 ヘモグロビン尿は、次の理由により急性腎不全の原因となりうる。

  • ヘモグロビン円柱が尿細管を閉塞する
  • 直接尿細管上皮に作用し変性壊死を起こす

 したがって、治療として、

  1. 尿量の確保

  2. 尿のアルカリ化
     炭酸水素ナトリウム(重曹:メイロン)の投与。尿をアルカリ化することによりヘモグロビンが沈澱しにくくなる。

  3. ヒト血漿ハプトグロビン(Hp)の投与
     4000単位を点滴静注。ヘモグロビン尿が消失するまで続ける。ヘモグロビンをHb-Hp Complexとして肝の網内細皮系で処理させる。

 が試みられる。

 赤血球ばかりでなく、骨格筋の崩壊によりミオグロビン尿も伴うこともある。ミオグロビン尿は電撃傷や雷撃症による横紋筋崩壊(rhabudomyolysis)により起こることがある。ミオグロビンの腎毒性は、酸性尿の環境で腎毒性の強いferrihemateとなることによる。したがって、治療には、

  1. 尿量の確保
  2. 尿のアルカリ化
 によって早く体外に排泄させることが重要であり、myoglobinはハプトグロビンと結合しないのでハプトグロビンの投与は全く無効である。


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帝京大学救命救急センター
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鈴木 宏昌 (dangan@ppp.bekkoame.or.jp)
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