網膜の病態 |
part Ⅰ |
網膜 retina/Netzhautは眼球(外壁)の内膜である.通常,視覚機能のある網膜視覚部 pars opticaを指す.従って,鋸状縁 ora serrataまでである.網膜中心動脈が分布する.網膜に対応するぶどう膜が,脈絡膜 choroidである.後毛様動脈が分布する.
眼胞 → 眼杯を形成する内外二層の神経上皮に依る.
硝子体: | 液化,後部硝子体剝離. |
内境界膜: | 肥厚する.基底膜の肥厚はBruch膜にも当てはまる. |
網膜血管: | 硬化性変化(弾性線維・膠原線維の変性). 中心窩無血管野の拡大. |
視細胞: | 細胞密度の減少(減少率は 杆体>錐体 ということで差がある).これにより, 視力低下・色覚の変化・視野変化などがおきる.視神経線維の減少にもつながる. |
網膜色素上皮細胞: | 密度の減少,代謝活性低下,視細胞外節の貪食・消化能の低下,リポフスチンの増加,異常基底膜の増加. |
Bruch膜: | 細胞外沈着物(蛋白糖化最終産物(AGEs)などのリポタンパク)の増加,基底膜の肥厚,弾性線維・膠原線維の変性. |
弾性線維層の変化: | 新生血管進入の阻止力の低下. |
ドルーゼン : | Bruch膜(色素上皮細胞基底膜と内膠原線維層との間)にドーム状に沈着・蓄積した,網膜色素上皮細胞由来の代謝廃棄物debrisで,組織学的にはhyaline(硝子)様物質と表現される. |
AGEs:蛋白糖化最終産物.通常にみられる加齢産物であるが,血管基底膜の肥厚や白血球粘着能の亢進,血液網膜関門の破壊などをきたす元.
加齢に従う摂取カロリーの制限は,視細胞・神経節細胞の減少や網膜色素上皮細胞での老廃物の蓄積を抑制する(カロリー制限は,加齢で低下する糖代謝を維持する効果がある).
視覚障害の問題
重い視力障害を来たす場合が少なくない (例:緑内障,糖尿病網膜症,網膜色素変性,強度近視,加齢黄斑変性 ・・・ ).
これらにより最終的には,視覚障害への対応 が求められる.
と,いうことで,網膜の病態 Ⅱ へ.
※ 眼底の臨床病理補:細𨻶灯・検眼鏡・眼底カメラ |
※ 網膜の病態 Ⅱ |
※ 網膜の病態 Ⅲ |
※ 網膜の病態 Ⅳ |
各項からもアクセスできます.見落としのないように ね.
A.網膜動脈硬化/高血圧網膜症
B.視神経乳頭部の病変
C.網膜動脈閉塞
D.網膜静脈閉塞
E.糖尿病網膜症
F.網膜剝離
G.網膜色素変性
H.黄斑変性
I.中心性漿液性脈絡網膜症
J.異常蛍光
K.原田病
L.ベ-チェット病
M.サルコイドーシス
N.治 療(レーザー光凝固)
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