• 胆嚢炎,胆管炎の症状


    急性胆嚢炎:胆嚢の炎症で,おおくは胆石でおこるが,胆石もないのに急激に胆嚢の血流が途絶えて壊死におちいるものもある.胆石発作や発熱などが主な症状.深呼吸時に痛みで呼吸を止めてしまったり(マーフィー徴候),圧迫痛がある.腹膜炎を合併すると腹部膨隆や便秘を呈することがある.黄疸や肝機能障害を示すこともある.腹膜炎は胆嚢の炎症が周囲に波及して起ることが多いが,胆嚢が壊死に陥り,穿孔し胆汁性腹膜炎をきたすこともあり生命の危機.


    急性胆管炎:総胆管に結石が存在したり,陥頓結石,胆管の狭窄が存在するときに,細菌感染が加わるとおこる.典型的症状は,発熱,黄疸と右上腹部痛であるが,肝機能障害はあるが黄疸がはっきりしないものもある.発熱は,悪寒戦慄を伴うことがおおい.弛張熱をていすることが多い.重篤なものでは,突然,ショックに陥り前述した急性閉塞性化膿性胆管炎を呈するものもある.

    急性閉塞性化膿性胆管炎:前述の記述を参考に.

  • 胆石症の治療法


    胆嚢結石症に対しては,通常,開腹手術による胆嚢摘出術が行われていたが,最近では,内視鏡的治療(腹腔鏡下胆嚢摘出術)が普及してきている.総胆管結石,陥頓結石に対しては,これまで多くの施設では開腹手術により,総胆管を切開し結石を除去し,総胆管内に一時的に(3週間ほど)チューブ(T-チューブ)を挿入する方法がおこなわれてきた.最近は,できる限り,内視鏡的に総胆管の結石を除去して(EST, ENBDなど),その後,内視鏡的に胆嚢を摘出する方法(腹腔鏡下胆嚢摘出術)をとっている.これは,開腹手術に比べて,侵襲が少なく,また,傷も小さく美容上も好ましく,さらに入院期間も短縮し,いわゆる“人にやさしい”治療法と考えている.多くの患者は、この治療を受けた翌日には歩行が可能であり、なかには、術後3日から7日で退院し、早期の社会復帰ができる。患者によっては1日入院のものもあるほど、浸襲が小さい治療法である。
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