腎性副甲状腺機能亢進症その5

 

2.腎性副甲状腺機能亢進症(つづき)

手術と予後(つづき)
 しかし、この小切開副甲状腺切除術を行うには、つぎの技術が必要となります。その一つは「術中迅速副甲状腺ホルモン測定」です。きわめて小さい傷から副甲状腺腫を摘出するため、周囲組織をすべて見ることは困難です。時に、副甲状腺が5個以上あり,副甲状腺腫の完全摘出が行われないこともあります。このようなときにはもう一度の手術(再手術)が必要となります。それを防ぐため、当グループでは術中迅速副甲状腺ホルモン測定を行っております。約10分で測定でき、副甲状腺ホルモン値が正常に戻れば手術は成功したといえます。現在(2004年1月)、この検査方法を用いているのは、日本では当グループだけです。
 また、副甲状腺腫の部位がはっきりしない場合、再手術で副甲状腺腫の検索が困難な場合などでは、MIBIという副甲状腺腫によく集まるアイソトープを使って、手術中にガンマプローベ、小型ガンマカメラなどで、副甲状腺腫の部位を探す方法があります。これも当グループではほかの施設に先駆けて開拓しています。
 また、術前・術中に超音波検査を行ない副甲状腺腫の位置を確認することもあります。それほど,副甲状腺腫は小さく、細かい首の組織に囲まれており,専門家が十分に検査しても難しいことがあります。しかし、当グループでは万全を期して確実でかつ侵襲の少ない手術を行っております。

 


術中迅速副甲状腺ホルモン測定の機械

術中に使う最新鋭のガンマプローペ

私達はこれまでに621例の経験を積んでおり(2004年9月現在),手術合併症は軽度な反回神経麻痺(嗄声)と3例に術後出血による再手術があるのみです。他施設と比べ,きわめて手術の安全性は高く、手術による侵襲も際立って少ないのが特徴です。

こうして確実にかつ安全に
副甲状腺腫は全摘されます


 

その2