腎性副甲状腺機能亢進症その4

2.腎性副甲状腺機能亢進症(つづき)

手術と予後(つづき)

 さて、皆様が関心をもたれている手術の方法についてご説明いたします。
現在普通に行われている手術は、首の傷が数cm以上と大きく、かつ手術野も大きいため、手術後の痛みや不快な症状も多くみられます。また、退院後も、首の皮膚が「ちくちくする」、「さわった感じが分からない」、「物を食べるときに首の皮膚がひきつれる」、などという不愉快な症状を長期にわたり訴えられる方がおられます。


通常の手術の皮膚切開創

飲食時に首の皮膚がひきつれる
 しかし,私達のグループは、低侵襲性手術である「小切開副甲状腺切除術」という画期的な手術方法を開発し,これを多くの患者様に行い日本国内、諸外国からも高い評価をえております。
 「小切開副甲状腺切除術」は首の約3cmの傷から副甲状腺を摘出するものです。また、手術部位の露出も小さくし、副甲状腺周囲の組織の剥離もできるだけ少なくしているため、手術後の不愉快な症状は非常に少なくなります。また、早期退院が可能となります。

小切開創の図

術後3ヶ月目の皮膚切開創の瘢痕(3cm)

 

 一方、「内視鏡手術」には2種類あります。1つ目は脇の下(腋窩)から行うものです。
2つ目は前胸部から行うものです。ともに、首に傷がなく、手術後2−3ヵ月たつと多くの方では首の症状は消失します。特に腋窩法では傷がご本人,周りの方からも見えないため,手術という嫌悪感から開放され、手術を受けたことを忘れてしまう方もお見受けします。しかし、腎性副甲状腺機能亢進症の場合には副甲状腺腫をすべて摘出する関係から、この内視鏡手術は特別な希望をお持ちの方に限られます。