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治療と予後:
 こうして腫大している副甲状腺が見つかった場合は、その副甲状腺のみを摘出します。

 まれに、2個以上の腫大している過形成の場合には腫大している副甲状腺だけを摘出するか、4個の副甲状腺をすべて摘出し、そのうち約60mgを首や腕に移植する方法もあります。しかし、いずれにしても、治療には手術が必要です。

 手術は全身麻酔で行われ、普通は5日以内の入院ですみます。ご希望によっては1日入院も可能です。ご家族の付き添いは不要です。手術翌日から歩行、食事などができ、ほぼ、普通の日常生活に戻ります。また、退院の翌日からは全く普通の生活(仕事)ができます。手術後、一時期的に血中カルシウム値が低下することがあり、そのときには口唇、手足がしびれたり、こわばったりしますがカルシウム剤を内服すれば症状は消失し、心配することは。普通はカルシウム値は1−2週間以内に正常になります。外来は受診されることもあまりなく、手術のことを忘れてしまうほどです。ただ、治療が遅れると、腎臓の機能が悪化したり、病的骨折を繰り返したりして、日常生活に大きな支障がおこることを心にとめておいてください。

 骨粗鬆症、胃・十二指腸潰瘍、膵炎などの合併症は手術後、治癒に向います。また、腎・尿路血症は再発したり、大きくなったりすることはありませんが、泌尿器科を受診してください。

 さて、皆様が関心をもたれている手術の方法についてご説明いたします。

 現在普通に行われている手術は首の傷が数cm以上と大きく,手術後の痛みや不快な症状も多く,お家に帰られた後も首の皮膚が「ちくちくする」、「さわった感じが分からない」、「物を食べるときに首の皮膚がひきつれる」、などという不愉快な症状を訴える方がかなりおられます。

 しかし,私達のグループは、「小切開副甲状腺切除術」と「内視鏡下副甲状腺切除術」という画期的な手術方法を開発し,これを多くの患者様に行い、日本国内、諸外国で良い評判をえております。

 「小切開副甲状腺切除術」は首の約2cmの傷から副甲状腺を切除するものです。

 手術後の不愉快な症状は非常に少なく、早期退院が可能です。