どんな病気 / 症状 / 検査と診断 / 治療

どんな病気:
 副甲状腺が腫大して(腫れて)、副甲状腺ホルモンが過剰に分泌される状態です。骨からのカルシウム吸収、腎尿細管でのカルシウム再吸収、小腸からのカルシウム吸収などの亢進により、血液中のカルシウムが増え、カルシウム値が高くなります。それとともに、尿細管でのリン再吸収の抑制によるリンが低くなり、骨吸収増加を反映してのアルカリホスファターゼ値が高くなります。

 血中のカルシウム値が高くなりずぎると、腎尿細管での再吸収能力が追いつかず、多量のカルシウムが尿中に排泄され、腎・尿路結石ができたり、腎糸球体や尿細管の細胞内に沈着して腎石灰沈着症をおこしたりします。また、骨や歯からのカルシウムが過剰に抜け(脱灰)、骨粗鬆症がおこります。
そのほか、高カルシウムによる刺激のた、胃・十二指腸潰瘍や膵炎がおこることもあるます。

症状:
 血中のカルシウム値が高くなるため、尿中のカルシウム排泄量が増え、同時に水も一緒に出ていくため多尿となり、脱水になり、のどが渇き、水を多く飲むようになります。
糖尿病と同様の口渇・多飲・多尿といった症状がおこってきます。また、筋力低下、食欲不振、吐き気、便秘などに悩まされることもあり、ひどくなると集中力の低下、抑うつ状態、意識障害なども現れてきます。
骨については骨粗鬆症が進行し、骨がもろくなり、ちょっとしたことで骨折したり、骨の関節の変形、骨痛などがおき、歩行困難となります。
腎・尿管結石ができると、激しい腰痛や血尿などがおこります。原因が取り除けないと、いくら結石の治療しても再発してきます。最終的には、腎機能障害になり血液透析へと向かってしまいます。胃・十二指腸潰瘍や膵炎が発生すると、上腹部痛、吐き気などのいろいろな症状がおきます。

原 因
4個の副甲状腺のうち1個が腫大することが多く、ほとんどが良性の腺腫です。原因は特になく、偶然にできると考えられます。まれに多発性のことがあり、4個の副甲状腺全部が腫大してくる過形成のこともあります。まれに副甲状腺がんのこともあります。また、時には脳下垂体、膵臓などの他の内分泌腺にも腫瘍が発生する多発性内分泌腫瘍症の症状の一つとして、副甲状腺が腫れてくることもあります。これは遺伝性で、遺伝子検査を行う必要がありますが、良性であり、きちんと治療をすれば心配することは全くありません。

検査と診断:
 頸部(くび)に副甲状腺の腫瘤(こぶ)を触れたりすることは殆どありません。
再発する腎・尿路結石や骨粗鬆症による骨折や骨の治療中に見つかることがあります。また、健康診断での血液検査でカルシウムが高いため、発見されることもしばしばあります。血液検査でカルシウム値が高く、リンが低値、アルカリホスファターゼが高値という組み合わせがあれば、ほぼ副甲状腺機能亢進症にまちがえなく、血中副甲状腺ホルモンが高値になれば、診断は確定します。
 しかし、診断できても、手術をするにあたって4個ある副甲状腺のどれが腫大しているかを調べる必要があります。これには超音波検査(エコー)がよく、アイソトープ検査としてMIBI(ミビ)シンチグラムも有用です。必要であれば、CTスキャン、MRIなどの画像診断も行います。