どんな病気 / 症状 / 検査と診断 / 治療

どんな病気:
 免疫の異常が原因と考えられ,自己免疫疾患(ご本人の体質)ですが、遺伝や感染など怖く感じる必要はありません。この病気は甲状腺疾患の中で最も多くみられ、若い世代から中高年の女性が大多数を占め、成人女性の約3%に橋本病があるともいわれています。橋本病の多くの方では甲状腺機能は正常に維持されていますが,機能低下している方もおられます。機能低下すると,むくみ、寒がり,無気力,皮膚の乾燥などの症状がでてきます。症状をご自分で感じていない方も,長い間この病気を持っていますので、この病気の症状がご本人の体質であると思い込んで慣れっこになっている方がおられます。また、中年から発症した方は「更年期障害」と思われている方も多いと思います。このような方は甲状腺ホルモン剤を少しずつ飲むだけで別人のように体調はよく、活発に、朗らかになります。もちろん、橋本病は手術の対象になりません。この病気は同じ家系内ででやすいですが,決して全身に影響を及ぼすものではありませんのでご安心ください。

症状:
 甲状腺の腫大はほとんどの方にあります。しかし、大きくなってくれば普通の医師でもわかりますが,小さいときは専門医でないと分からないことが多いです。
橋本病の方の約50%は甲状腺ホルモン量の少ない,すなわち甲状腺機能低下症の症状があります。その症状は、顔や手のむくみ、寒がり,体重の増加,皮膚の乾燥,脈が遅い,無気力でどこでも眠くなり,忘れっぽくなる、などです。特徴的な症状でないため,健康診断,別の疾患で医師にかかっていても見逃されてしまうことが多分にありますが、ご本人にとっては不愉快なものです。

検査と診断:
 この病気が自己免疫疾患であり,甲状腺機能低下症であることから、甲状腺自己抗体(抗サイログロブリン抗体)と甲状腺ホルモン、甲状腺刺激ホルモン(TSH)の測定で診断できます。