低侵襲性甲状腺・副甲状腺外科手術

1. 頸部小切開甲状腺・副甲状腺切除術

 私達は早くから小さな切開創で甲状腺・副甲状腺を切除する術式を開発してまいりました。これは通常行われている手術よりもはるかに切開創は小さく,かつ皮下組織〔広頸筋〕や前頸筋も剥離、切離しないため、美容上の問題のみならず、頸部の違和感,触覚鈍磨,知覚異常、皮膚の癒着によるひきつれという不快な不定愁訴も生じにくいです。

 副甲状腺切除は2cm、甲状腺の大きくない良性腫瘍でしたら2−3cmででき、悪性腫瘍でも小さいものであれば3cm程度で側頸部のリンパ節郭清まで行えます。手術時間は短く、術直後からの侵襲は驚くほど少なく,希望により日帰り手術も可能です。手術合併症も従来の方法と同じです。すでに多くの症例を経験し,私達のグループでは確立された術式となっております。しかし,欠点は小さいといえども頸部に瘢痕が残ることです。特に、若い女性は皮膚の瘢痕が残りやすく、さらに肥厚性瘢痕、ケロイド体質の方は深刻です。このような欠点を補うのが内視鏡下甲状腺手術です。

文献:小切開法による低侵襲性甲状腺・副甲状腺手術の臨床的有用性
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