合理的、確実な低侵襲性副甲状腺手術

合理的、確実な低侵襲性副甲状腺手術
1. MIBIガイド下副甲状腺手術
2. 術中迅速PTHを指標にした副甲状腺手術

 日本では副甲状腺機能亢進症の発見頻度が少ないです。それは医師が血清カルシウム値に余り注目していない
ためだと考えています。しかし,最近は再発,両側性の腎・尿管結石や骨粗しょう症で発見される方が増えてきています。これに対する手術は副甲状腺摘出術ですが,病的副甲状腺は必ずしも1腺だけとは限らず,また通常の位置にない異所性の場合もあり、術後再発,遺残腺腫症例も見られます。そのような合併症を防止するために、副甲状腺の4腺をすべて検出する術式が欧米を中心に行われてきましたが,皮膚切開創が大きくなり、反対に正常な副甲状腺を損傷し,副甲状腺機能低下症をもたらす可能性もあり,低侵襲性という意味からは適切な手術とはいえませんでした。
最近,副甲状腺腫に特異的に集積する核種であるsestaMIBIが出現し、副甲状腺シンチグラムの診断能を飛躍的に高めました。さらに、このMIBIを術直前に投与し、術中に微小なガンマプローベで検索する低侵襲性ラジオガイド下副甲状腺摘出術
(minimally invasive radioguided parathyroidectomy:MIRP)
が欧米で行われつつあります。これは手術野の剥離部位を縮小させ、手術時間を短縮させ,低侵襲性となります。さらに、副甲状腺腫が完全に摘出されたのを確認するため
に、術中迅速intactPTH測定も行われつつあります。副甲状腺腫摘出後、5-10分後に採血し,採血10分後にはPTH値が測定されます。簡便に、かつ確実に測定できるため、小切開や内視鏡による低侵襲性手術が可能になりました。これらの技術はアメリカより輸入されたものです。私達のグループはこの2種の手技をルチーに併用している唯一の施設と考えております(2002年3月現在)。

文献:Minimally invasive radioguided parathyroidectomy
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文献:原発性副甲状腺機能亢進症の副甲状腺摘出術に対する術中迅速intact PTH assay の有用性
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文献:Intraoperative quick parathyroid hormone assay in the surgical management of hyperparathyroidism
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