腹腔鏡下副腎摘出術

 この約10年間の進歩で副腎摘出術は可能な限り内視鏡下の行うのが良いということが明らかになってきました。

 従来の腹部,あるいは背部アプローチに比べ、腹腔鏡下副腎摘出術では患者さんの侵襲は明らかに少なく,手術翌日には大きな痛みや苦痛なくして歩行,食事などができます。対象症例も非機能性副腎皮質腫瘍,原発性アルドステロン症,クッシング症候群はもちろんのこと褐色細胞腫まで広がりました。また,技術の進歩は早いもので,単に副腎を摘出する段階から副腎亜全摘,部分切除というところまで進んできました。両側性褐色細胞腫では副腎皮質を温存した副腎亜全摘術が行われつつあります。この術式では,両側副腎全摘に比べ患者さんは術後副腎皮質ホルモンを内服することなく〔または一部内服で〕生活できる非常に大きな利点をもっています。

 しかし,手技的に腫瘍である副腎髄質を残存させると再発の危険があります。また、診断技術の向上と共に小さな原発性アルドステロン症が発見される頻度が高まってきており,この小さい腫瘤に対し副腎部分切除が行われつつあります。これも多発した腫瘤の残存や残存副腎皮質からの再発の危険性がありますが超音波内視鏡や局在診断能の進歩により確実な手術法へと変遷しております。

 私達のグループではこれらの術式を高度な技術を駆使
し、安全かつ確実に行ってきております。

文献 Overview  pdfファイル, 371KB

文献 Laparoscopic partial adrenalectomy  pdfファイル, 654KB