診療科・担当医紹介
内科(リウマチ)

本診療科は2011年6月に設立され、千葉内房を中心とした幅広い地域から来院される関節リウマチ・膠原病患者さんの診療を行なっています。原因がはっきりしない、持続する発熱(「不明熱」と呼ばれることがあります)や関節痛の診療も得意としております。2021年度現在、スタッフ10名で診療を行っております。

こんなお悩みを抱えた患者さんを主に診療しております

  • 関節の痛みが続いている。市販薬でも改善しない。
  • 他院で「ずっと炎症反応が高い」と言われているが、原因がわからない。
  • 原因不明の発熱が続く。
  • 他院で関節リウマチや膠原病の診療を受けているが、調子が思わしくない。
  • 肺や腎臓の病気について診療を受けているが、担当医から「膠原病の疑いがある」と言われた。

関節リウマチ
関節リウマチは自己免疫による関節炎の一種です。その診療は、なるべく「早期に診断」し、「早期に治療」することによって「寛解状態」あるいは「低疾患活動性」を目指して治療することが専門家の間では常識になりつつあります。当科では、地域の内科・整形外科の先生方と連携しつつ、関節リウマチをより早期に診断できる体勢を整えております。抗リウマチ薬・生物学的製剤・JAK阻害薬等の小分子標的薬といった最新のリウマチ治療を内包した適切な内科治療はもちろんのこと、関節腔内ステロイド注射、リハビリテーション、時期を逸さない手術療法など、科の垣根を超えた「関節リウマチのトータルケア」を目指し、最大限の治療効果を挙げるよう努力しています。

脊椎関節炎
近年、皮膚疾患(乾癬)や、消化管疾患(炎症性腸疾患)などに関節症状が併発することが知られるようになっています。これらの疾患において、まず関節症状が先行し、その後に皮膚や消化管疾患が判明することもあります。また血液検査で「関節リウマチの検査は正常」であっても関節炎がある方に、一定数脊椎関節炎の方がいらっしゃることがわかっています。当科では、皮膚科・消化器内科などの科と綿密なタイアップを行いつつ、筋骨格症状の緩和に努めております。近年の進歩が著しい分野で、その進歩を診療内容に速やかに反映させております。

膠原病・血管炎
全身性エリテマトーデス(SLE)、血管炎、強皮症、炎症性筋疾患、ベーチェット病など、いわゆる「膠原病」と言われる病気は、多くの臓器(皮膚、肺、腎臓など)に慢性的な炎症を起こす自己免疫疾患の一群です。当科では、膠原病の診断・治療についても、最新の知見をもとにステロイド・免疫抑制剤/生物学的製剤を使用し、良好な診療実績を挙げております。特にステロイドは研究の進歩によって免疫抑制剤等の併用によって以前よりも減量可能な場合が多くなっています。このため、当科ではステロイドは「可能な限り少量で、可能ならば中止する」方針を明確にしております。

その他
検査の過程で発熱や関節痛の原因が「感染症」や「腫瘍」であることが判明することがあります。その際には適切な診療科を紹介いたします。


担当医
萩野 昇
講師 萩野 昇
出身大学 東京大学 平成12年卒
専門分野 関節リウマチ・膠原病診療
不明熱の診断
専門医等 日本内科学会認定総合内科専門医
日本リウマチ学会専門医・指導医
米国内科学会(Americal College of Physicians)会員
米国リウマチ学会(American College of Rheumatology)上級会員(Fellow)
難病指定医 厚生労働省難治性疾患等政策研究事業「難治性血管炎に関する調査研究班」中・小型血管炎分科会研究協力者

~2020年度~
診療実績(概算)

関節リウマチ 700例
乾癬性関節炎 20例
強直性脊椎炎 5例
全身性エリテマトーデス 100例
皮膚筋炎・多発筋炎 30例
全身性強皮症 20例
成人スティル病 3例
シェーグレン症候群 30例
他 希少疾患(TAFRO症候群など)

研究について
原著論文
  • Shotaro Suzuki, Noboru Hagino, Eishu Nango. Fracture Prevention with Zoledronate in Older Women with Osteopenia. N Engl J Med. 2019;380(13):1287.
  • Kenichiro Tokunaga, Atsushi Shiraishi, Noboru Hagino, Hideto Oshikawa, Jinju Nishino, Shigeto Tohma. Evaluation of the effect of foot disease activity on Boolean remission in Japanese patients with rheumatoid arthritis: A cross-sectional study. Musculoskeletal Care. 2019;17(1):152-155.
他多数

論文発表等
  • 山口裕之, 萩野昇. リウマチ膠原病“らしさ”を捉える!疑わなければはじまらない!全身性エリテマトーデス~“SLEらしさ”を知ることが診断のカギ , Gノート 8(1) 2021年
  • 萩野昇. 最新の関節リウマチ治療 JAK阻害薬 , ペインクリニック 42(3) 2021年
  • 四茂野恵奈, 永幡研, 服部周平, 平原理紗, 鈴木翔太郎, 竹之内盛志, 横地律子, 萩野昇. TNF阻害薬抵抗性でアザシチジンが著効した,trisomy8に伴う腸管ベーチェット様症候群の一例, 関東リウマチ 53 2020年
  • 屋代香絵, 萩野昇. 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と画像診断の役割 III 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)における画像診断の役割-臨床報告 3.COVID-19肺炎のCT診断-特徴的所見と経時的変化. Innervision 35(11) 2020年
  • 萩野昇. コロナにまつわるエトセトラ コロナ第1波を振り返る なぜ個人防護具は不足したのか? 治療 102(11) 2020年
他多数

公演、出版、その他
  • 萩野昇編. ケースでわかるリウマチ・膠原病診療ハンドブック〜的確な診断と上手なフォローのための臨床パール. 羊土社 2021年
  • 萩野昇著, ロジックで進める リウマチ・膠原病診療, 医学書院 2018年
  • 萩野昇. Best Doctors® 2019-2020
その他、リウマチ・膠原病関連の教育講演多数

当科見学希望の医学生・医師の方へ
COVID-19の流行状況にもよりますが、見学・短期研修を受け付けております。またスタッフも随時募集しております。
照会は当院総務課〔ichi-sou@med.teikyo-u.ac.jp 〕までお願い致します。

当科研修について
当科研修は「頂点は高く裾野は広く」をモットーに、リウマチ膠原病はもちろんのこと、膠原病周辺疾患・感染症・悪性腫瘍全般に精通した臨床医の育成を目指しています。
特徴として以下が挙げられます。
  • 初年度よりリウマチ膠原病外来を担当し、チーム制で管理している入院患者を主治医として診療していただいております。オフライン・オンラインライブ両方でいつでも相談可能な体制を構築しております。
  • スタッフの多くが総合内科出身者であり、良質な総合内科教育も提供できます。
  • 日本リウマチ学会「教育施設」であり、リウマチ専門医の取得が可能です。

教育内容
  • 最初の2年は外来患者の全症例を萩野中心にみんなで朝レビューを行います。耳学問で一気にレベルが上がります。
  • ほぼ毎日ジャーナルクラブ・レクチャーを行います。論文の読み方はサポートします。数年で主要な論文を把握できるようになります。
  • 学会発表・和文総説の執筆機会は多いです。
  • 定期的に多施設合同の総合内科カンファや間質性肺炎のネットカンファレンスを行っています。
  • 圧倒的シェア能力:過去ジャーナルクラブを始めとしたノートシェアはEvernote、議論はSlackで行っています。ジャーナルクラブ・レクチャーはネット上で参加可能です。
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