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化学(損傷)熱傷 (chemical injury/burn )

【強酸による化学熱傷】

 高温や低温などの物理的エネルギーばかりでなく、化学的によっても皮膚の損傷を受けることがある。これを化学熱傷と言う。酸やアルカリのように濃度や接触時間に傷害の程度が比例する物質を一次刺激物質(Primary Irritant)と言う。一般に、強酸より強アルカリの方が皮膚損傷の深達度が深い。

 いづれも、できるだけ早く流水で洗浄を開始し、できるだけ長時間(6〜12時間)継続すことが重要である。一般に、中和剤は用いない(中和反応による熱の発生)。

 これは、メッキ工場の労働者が硫酸の入ったバケツを運搬中転倒して濃硫酸を浴びてしまい受傷したものである。硫酸であるため皮膚は黒褐色に変色し、水疱が形成されていないが、結果的にはIIsからIIdの深達度であった。

 強酸や強アルカリの接触によることが多いが、それ以外の化学薬品によっても化学的な皮膚の損傷を受けることがある。ガソリンなどの揮発性溶剤でも長時間接触すると化学熱傷を来す。これは交通事故で車内に閉じ込められ救出されるまで長時間かかった症例で、残念ながらCPA-OAであった症例だが、事故車は炎上したわけでもないのに、右側腹部から側胸部にかけてIIs〜IIdに相当する皮膚の損傷が診られる。これは、ガソリンの漏出によるものと思われる。ガソリンによる化学熱傷は、オートバイの事故などで良く見受けられる。


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帝京大学救命救急センター
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鈴木 宏昌 (dangan@ppp.bekkoame.or.jp)
Hiromasa Suzuki, MD
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