帝京大学医学部附属溝口病院脳神経外科 TEIKYO UNIVERSITY SCHOOL OF MEDECINE UNIVERSITY HOSPITAL,MIZONOKUCHI,DEPARTMENT OF NEUROSURGERY
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 てんかん外来

 てんかんとはてんかんは脳の病気のひとつです。脳にある一部の神経細胞が異常な活動を起こし、これがまわりの正常な神経細胞に伝わります。この異常な活動が大きくなった時に、てんかん発作となってあらわれます。発作が起こると脳の正常な機能が障害され、いろいろな症状が出現します。

 てんかん発作では次のような症状が見られます。

・ 手や足のけいれん又は全身のけいれん

・ 意識が悪くなる又は反応がなくなる

・ ぼーっとして一点を見つめ動作が止まる

・ 意味のない動作を繰り返す(例 手で服をまさぐる 口をモグモグするなど)

・ 頻繁に激しく転倒して生傷が絶えない

 この他に特殊な症状として、目の前のものがゆがんで見えたり、なつかしい光景が目の前に浮かんだり、耳鳴りが聞こえたり、嫌なにおいがしたり、恐怖感に襲われたりすることもあります。これらの症状が繰り返し起こるときに、はじめて「てんかん」と診断されます。てんかんは決してめずらしい病気ではありません。わが国では100万人くらいの人々(1000人に5~10人くらい)がてんかんに悩んでいます。

 てんかんに対する内科的治療
 てんかんの内科的治療はお薬(抗てんかん薬)を服用し、発作を起こしにくくする方法です。どのような発作であっても、まずお薬を服用することから治療が始まります。お薬にはいろいろな種類があり、現在までの経験から、どういう種類の発作にどんなお薬が効くのかが分かっています。したがって、てんかん発作の状態を正しく診断することがたいへん重要です。適切なお薬をきちんと服用することで、約80%の患者さんは発作が止まり、通常の日常生活を送ることが可能です。
てんかんに対する外科的治療

どのような発作であっても、お薬を服用することから治療が始まります。ところが、適切なお薬を服用していても、10~30%の患者さんで発作を抑えることが困難になります。このような状態を薬剤抵抗性てんかん若しくは難治性てんかんと呼んでおり、外科的治療の対象の一つに挙げられます。一般に下記の項目に該当する場合は、手術を主体とする外科的治療を検討します。

・ 適切な内服治療が行われているにもかかわらず発作が持続する場合。

・ MRIなどの画像診断で、てんかんの原因になっている部分がはっきりしており、その部分を手術しても大きな後遺症が残らない場合。

・ てんかん発作が日常生活に大きな障害をもたらしており、発作を抑制することで安全な社会生活が可能になる場合。

・ 眠気や失調などの中毒症状が出るほど大量のお薬を服用しないと発作が止まらない場合。

 ただし、外科的治療を行う場合は、それぞれの患者さんの発作の種類や頻度、様々な検査の結果および生活環境などを充分に検討した上で、治療方針を決定することが重要です。

小児てんかんに対する外科的治療の適応について

 小児のてんかんに対して外科的治療の適応を検討する場合は、成人とは別の配慮が必要です。小児期にてんかん発作が頻発すると、脳の正常な発達が妨げられ精神運動発達が著しく障害されることがあります。外科的治療は発作を抑制するだけでなく、脳の正常な発達にも良い影響をもたらしうることが明らかになり、小児の難治性てんかんに対して、外科的治療が行われるケースが徐々に増えてきています。手術時期に関しては、年齢が低いほど後遺症が出にくく成長発達にも良い影響を与えることが知られています。

 このような観点から、小児難治性てんかんでは、お薬で発作が比較的容易に抑制される場合を除いて、早期の外科的治療を考慮する必要があります。

手術に至までの診療のステップ

はじめに、現在までの発作の状況や内服治療の内容について、外来で詳しくお話を伺います。次いで脳波検査とMRI検査を行い、外科的治療の適応が考慮された場合には、検査のために2~3週間の入院が必要になります。入院して行う検査は以下の通りです。

・ 反復脳波検査(少なくとも3回以上は脳波検査を行います。また必要に応じて終夜脳波検査を行います。)

・ 蝶形骨誘導脳波検査(主に側頭葉てんかんの患者さんに行います。)

・ 発作ビデオモニタリング(発作を客観的に判断するためにビデオ撮影を行います。)

・ CT・MRI・脳血流検査などの各種画像診断

・ 神経心理学的検査(記憶力検査・知能検査など)

 これらの検査で手術の適応があると判断された場合は、引き続き手術を行います。術後は回復に2週間、その後の検査に2週間を要し、約1ヶ月で退院が可能です。

主な手術方法

・ 側頭葉切除術

側頭葉てんかんに対する治療法で、てんかんに対する手術の中でもっとも多く行われている方法です。手術例の約70%で発作が消失、90%で発作の改善が期待できます。

・ 皮質焦点切除術

MRIなどの画像診断で明らかな病巣が発見され、そこから発作が始まる場合は、病巣を切除することにより比較的良好に発作が抑制されます。

・ 軟膜下皮質多切術(MST : multiple subpial transection)

運動野や言語野など、従来の方法では対応が困難だった領域に対する外科的治療を可能にした優れた手術方法です。

・ 脳梁離断術

激しく転倒し生傷が絶えないような発作(転倒発作)や、強直性全身けいれん発作に対して効果があるとされています。殊に転倒発作に対しては、約90%で発作の改善が期待できます。

おわりに
外科治療を含むてんかん治療についてご相談ご質問がございましたら、水曜日の午後の外来にお越し下さい。個々の患者様が満足される診療を心がけて参りたいと考えております。

 

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