視野異常 visual field loss

視 野

図@両眼視野

視野とは「視覚の感度分布」である.正常な両眼視では,片眼で認識する領域と左右眼で合成して認識する領域がある.
F:fixation
M:Mariotte

視野は,片眼ずつ評価する.

◎視野とは ☞☞& 追加説明

視野異常

網膜視細胞に与えられた光刺激は,視神経を経て大脳後頭葉に達して,初めて視覚を生じる.従って,この経路のいずれかの障害部位に応じて特有の視野欠損が生じる.
視野異常には,狭窄暗点半盲がある.


T)暗点  視野の中で限局性に(孤立して)視感度が低下している,あるいは感度がない部位がある. 図02暗点

図03中心暗点 図04ブエルム 図05輪状暗点

U)狭窄  視野の範囲が狭くなる状態.

視野中心部のみが残存する求心性視野狭窄や,視野が不規則に狭くなる不規則性狭窄がある.そのうち,欠損が中心から扇型に周辺部まで広がるものを扇型(切痕状または截痕せっこん状)欠損という.

図06求心狭窄 図07截痕狭窄

@求心性視野狭窄:網膜色素変性や緑内障の末期に多い.また視神経萎縮,広範な脳梗塞,心因反応でも認める.稀に視神経症,両側の後頭葉皮質の障害(水俣病など).

A不規則性狭窄:網膜離など網膜疾患に多い.扇型(切痕状)欠損は頻度的には緑内障中期,および網膜静脈分枝閉塞が多い.網膜動脈分枝閉塞,乳頭周囲網脈絡膜症,網膜分離症,多発性硬化症の視神経炎でも認める.

・狭窄の特殊形
心因反応では特異的な異常が検出されることがあり,診断的価値がある.螺旋状視野,管状視野,求心性狭窄,水玉状視野(HFA)など,矛盾のある結果となる.

図08らせん視野 図09管状視野

V)半盲 hemianopia,hemianopsia  固視点を通る垂直,あるいは水平線を境として視野が障害された状態.

経線( meridian ;子午線)に一致する異常を示す.これらは,基本的に視路障害を表わす.
両眼の半側つまり左右いずれかの同じ側に半盲をきたす同名半盲,両側の耳側あるいは鼻側が障害される異名半盲,上側あるいは下側が障害される水平半盲がある.
ときに四半盲となる.

図10同名半盲 図11異名半盲

@同名半盲同側性 homonymous
 解剖学的に視交叉よりも視中枢側(視索,外側膝状体,視放線,視中枢)の障害で認める.原因として,梗塞,出血,腫瘍などがある.
 ▣ 同名性傍中心暗点;鳥距溝領域(特に,後方・先端部)

A異名半盲異側性 heteronymous
 両耳側半盲は,視交叉における交叉線維の障害.下垂体腺腫,頭蓋咽頭腫,鞍結節髄膜腫,異所性松果体腫,視交叉神経膠腫などで認める( 視交叉症候群 ).
 両鼻側半盲は,非交叉線維の障害.頻度は少ないが,empty sella症候群,脳動脈瘤などで認める.

B水平半盲視神経外傷や虚血性視神経症など視神経の循環障害で認める.そのた,Meyer loop ,後頭葉の病変による.

C四半盲(1/4半盲)
 ▣ 上四半盲外側膝状体,側頭葉( Meyer係蹄部による),鳥距溝下唇
 ▣ 下四半盲

W)沈下   山の高さが低くなった状態.地平線に達すると欠損となる.
 ▣ 部分的   欠損に至る以前の軽度な障害.
 ▣ 全体的抑制   視野全域の感度が低下した状態.おもに透光体混濁で.

X)視野欠損 visual field loss

視野異常は,網膜から視神経,外側膝状体,視放線,後頭葉皮質にいたるいずれの部位のニューロンの障害においても起こり,その障害パターンから原因疾患を推定することになる(視路障害).
原因は眼底疾患,緑内障を含む視神経疾患,視覚路の疾患のほか心因反応(ヒステリー)がある.

ページのトップへ

■視路障害
図12視路障害 病変部位を考える時,次のような分け方ができる.
 @網膜病変
 A乳頭部病変
 B視神経病変  ・・・  右図 1
 C視交叉病変  ・・・    2
 D視索病変  ・・・・    3
 E外側膝状体
 F視放線  ・・・・・  
 G後頭皮質  ・・・・  

■虚性暗点と補完知覚
Mariotte盲点など視神経あるいはそれより後ろの障害では,視野異常を自覚しないことが多い(虚性暗点など,半盲も然り).視野の一部が見えないのであるから,見えない部分は真っ黒になっていると思われがちであるが,実際はその周囲の見えている部分から補完して,周りの続きのように視野情報を補完・充填して認識される.視中枢の仕業とのことである.

■加齢変化
周辺視野(最大イソプタ)はほとんど変わらないが,中間部分での沈下が認められる.
実生活では注意力・認識力の減退によって,有効な視野は狭窄している.

1視路の復習

2012