腎性副甲状腺機能亢進症その2

 

2.腎性副甲状腺機能亢進症

どんな病気か
 副甲状腺以外の病変によっておこった低カルシウム血症のため、カルシウム濃度を上げようとして、二次的に副甲状腺ホルモンが過剰に分泌される状態です。
持続的に副甲状腺が刺激されるため、副甲状腺は腫大(過形成)し、増加した副甲状腺ホルモンにより血中カルシウム値は上昇しますが、その代償として骨密度の減少や血管石灰化などがおこってきます。その中で、慢性腎不全で透析中の患者様にみられる腎性骨異栄養症(線維性骨炎など)が典型例で、そのほか吸収不全症候群などの消化管疾患、抗けいれん剤や骨吸収抑制剤などの薬剤投与中で低カルシウム血症がおこる場合もあります。

原因
 ほとんどは慢性腎不全により長期にわたり透析を受けている患者様におこります。4個の副甲状腺のすべてが腫大し、過形成の状態になります。

副甲状腺手術の適応と検査
(このような方は手術を受けられるのがよいです)
1)副甲状腺ホルモン(PTH)が高値を示す方
2)画像診断で明らかに腫大した副甲状腺腫が
  確認できる方
3)画像診断、骨代謝マーカーで線維性骨炎、
  骨回転の亢進がみられる方
上記のような方は確実に手術を受けられることを推奨します。
 また、透析センターでの内科的治療で改善しない方も手術の適応になります。すなわち、カルシウム値の高い方、リン値が高くなりそれをコントロールできない方、血管・異所性石灰化が進行した方、骨関節痛、かゆみ、イライラ感、筋力低下などの自覚症状がある方、高度な線維性骨炎により骨格が変形している方、皮膚の小血管の石灰化による皮膚の壊死性病変、骨塩量が減少してきている方、エリスロポエチンに抵抗性の貧血のある方、などが手術の対象となります。
 骨X線所見は特徴的であり,骨吸収像,骨硬化像、骨膜下新生像,異所性石灰化像,などがある。


頭蓋骨のすりガラス状陰影

長管骨にみられる嚢腫状変化

手指骨の骨膜下吸収像

動脈壁と肘関節の異所性石灰化

肘関節の著明な石灰化

 

 血液検査では、透析センターで行われている副甲状腺機能検査のほかに、骨代謝マーカーなどを測定します。画像診断で4個ある副甲状腺の腫大の程度を調べます。これには超音波検査(エコー)がよく、アイソトープ検査としてMIBI(ミビ)シンチグラム(2004年10月現在、保険非適用)も有用です。CT検査、必要があればMRI検査などの画像診断も行います。
また、骨密度を調べるため骨密度検査を行ないます。この病気では心血管系の合併症が多くみられます。症状が重篤なときには手術前にしばらく入院していただき、心機能検査などを行います。

 

その1

その3