患者様に優しい手術です。特に女性の皆様には水着も自信をもって着れます。

 皆様方も最近では新聞やマスコミでおなかや胸の手術で内視鏡(腹腔鏡,胸腔鏡)手術をいうのを耳にしたことがあると思います。内視鏡手術や小切開手術は非常に利点の多い素晴らしい手術で,今後どんどん増えていくと思います。これらの手術の一番大きな利点は,患者様への侵襲が少ないということです。「侵襲」が少ないということは、手術後の痛み,不快感や出血が少なく,歩行や食事が早く開始でき,退院が早くできることです。また、退院時からもとと同じような生活ができ,皮膚のひきつれや違和感などを感じることがほとんどなく,しばらくすると手術したことを忘れてしまうほどです。
これからの手術は、患者様とそのご家族が「手術や手術後の痛みや傷の瘢痕などを我慢して耐える」のではなく、皆様がその手術の結果に十分満足でき,「質の高い生活」をすることができるようになることです。ですから、手術後に長く入院していなくてはならない、首に長らく包帯を巻いて寝ていなくてはならない,切ったところがひどく痛い,声が出にくい,首の傷が大きくて退院しても皮膚切開の瘢痕が気になる,退院しても首や肩にいやな症状が残る,などということは患者様にとっては満足できること、すなわち「質の高い生活」が送れることとはいえません。とくに、ケロイド体質の方は大いに悩むところです。

 私達のグループでは世界の先進のグループとして、患者様が十分に満足できる「低侵襲性手術」を行ってきております。すでに多くの症例を行い、患者様には退院時には感謝のことばをいただき,外来では「傷も見えず,症状もないので、手術したことを忘れてしまい、今日の外来も忘れそうでした」などといわれます。そのときは外科医冥利につき,大変ご機嫌になります。しかし,その直後には,また外科医の厳しい挑戦が待ち構えており、のんびりすることはできません。手術の合併症なども従来の手術と同じで非常に低いものです。

 それでは,ここで私達が開発した「低侵襲性手術」をご説明いたします。2種類に大きく分けられます。

1) 小切開甲状腺・副甲状腺手術(首の2−3cmの傷)

2) 内視鏡下甲状腺・副甲状腺手術(腋窩〔脇の下〕からの手術と前胸部からの手術)