どんな病気か / 検査と診断 / 治療その1 / 治療その2
治療と予後 その2: 「内視鏡手術」には2種類あります。1つ目は脇の下(腋窩)から行うものです。
これらの手術はそれぞれ利点と欠点があります。当グループの医師と十分にご相談されて下さい。しかし、繰り返しますが当グループの低侵襲性手術は傷口の大小にかかわらず、組織を傷つけないように愛護的(優しく)行っておりますので、一般に行われている同じような手術と比べ、手術後の満足度はきわめて高く、「質の高い生活」を送ることができます。 手術の合併症(手術による障害)は主に2つあります。第1は、甲状腺の背面を通っている反回神経麻痺による嗄声(させい、しわがれ声)の可能性です。この反回神経は甲状腺に密着しているため、甲状腺切除に際し軽度の手術的侵襲を受けただけでも軽い嗄声がおこります。また、甲状腺腫が浸潤していることもあります。そのときには一部を削ったり、切離しなくてはなりません。もしも、嗄声や誤飲が起きた場合にはビタミンB12剤を飲んでいただきます。多くの方は手術後、3ヵ月程度で嗄声はほぼ改善します(誤飲はもっと早く治ります)。しかし、腫瘤の部位と反回神経の位置関係によっては、まれですが嗄声の持続する場合があります。 退院時、甲状腺腫の再発を防止する目的で、甲状腺ホルモン剤(チラージンS)を飲んでいただくことがあります。副作用はほとんどなく、健康剤のような感じでお飲みになってください。6ヶ月―1年以内で中止することが大部分ですが、甲状腺を多く切除したとき(甲状腺亜全摘)では長期にわたり内服していただきます。また、傷がきれいになるお薬を処方することもあります。 私達は1999年7月よりこれらの手術を行っており,十分な経験を積んでおり,手術合併症も今までの手術術式と同じく僅かなものです。手術合併症は反回神経麻痺によるしわがれ声、副甲状腺機能低下症による手指・口唇のしびれ感などが考えられますが、その出現する頻度はごくまれです。 |