医学生の方へ
集中治療医学へのお誘い
 集中治療という概念とその実現は、医療史上では20世紀の偉大な産物として記録されるべきものです。1960年にJAMA(米国医師会雑誌)にProgeressiye PatientCareという考え方が提案されましたが、これは病院内で入院患者のベッドを決めるときに、医師の都合で決めるのではなくて患者の状態に応じて決める、つまり患者の重症度、医療介入を必要とする度合いに応じて決める、という考え方でした。その一方で、人工呼吸器、人工腎臓など機械的な生命補助装置がほぼ実用段階に入ったのもこの頃でした。1950年代の北欧におけるポリオの大流行対策と、米国における術後呼吸管理という臨床上の要求が、人工呼吸という治療法の確立に大きな推進力となったことは、よく知られている通りです。
 これら生命補助装置の実用化と「重症度に応じて患者を収容する」というアイデアの両方がほぼ時を同じくして登場したことで、現在の集中治療室(ICU))のあり方が決定されたといってもいいでしょう。呼吸、循環、栄養代謝、免疫(感染防止)など、生命の維持に直接関係する生理機能を薬理的、機械的な方法で補助し、救命するという医療手法とそれを遂行する場所であるICUは、まさに20世紀の医療を象徴する存在であり、今やICU抜きでは現代医療は語れないのです。医療機関の機能分化という考え方はその延伸応用なのであり、そうしたシステムの中では、ICUという言葉が意味するものはその医療機関あるいはその医療圏において最高度の医療を提供する場所ということになります。それゆえ急性期病院においては、ICUベッドは必然的に拡張せざるをえなくなったのです。
 ところで、21世紀に入った現在、集中治療医学にはどのようなフロンティアが残されているのでしょうか。病院医療の枠組みの中で、さらに重症患者管理の精髄を究めるのも当然、というか社会的にはそれが最大の要求でしょうが、それだけで納まるはずもないとも考えます。
 私は集中治療医学は危機管理医学(あるいは医学的危機管理)の個人レベルでの応用だと捕らえています。つまり人間の生命を危機に陥れるあらゆる状況での医学的救済を想定した場合、集中治療医学は患者個人の生命危機に対する管理であり、その上の段階として病院レベルでの危機管理としての安全対策、質管理、事故対策などがあり(これが狭義に「危機管理」と呼ばれることが多い)、さらに大きな単位として、社会の危機としての集団災害医療などがあると解釈しています。これら個人レベル、医療機関レベル、そして社会レベルの各段階の医学的危機管理が、相互に関連性を保ちながら統一的な学問体系として集約され、人間の生命の安全を護るための「危機管理医学」という学問体系が創出できないかと、考えているるのです。
 具体的に当センターの救急集中治療部で行っていることを列挙(下記)しますので、興味のある方はご連絡ください。

帝京大学ちば総合医療センター
救急集中治療センター名誉教授 福家 伸夫(ふけ のぶお)

1)救急外来(ER)1救急科山下雅知教授が担当。全領域の外来救急患者を診察し、研修医を教育している。
2)集中治療(ICU)病床数8床で術後、救急、小児、その他のあらゆる領域の重症患者管理をしている。ただし臓器移植は病院として扱っていない。いずれの領域も得意であるが、とくに志賀英敏教授をリーダーとする血液浄化領域は質が高い。院内や救急だけでなく他医療機関からの入室依頼も多い。
3)安全管理臨床工学部、薬剤部がスタッフとして、事故防止に貢献してる。
4)災害医学災害拠点病院としてヘリポ-トを設置し、千葉県ドクターヘリの運営に協力している。福家は国際緊急援助隊の医療チームアドバイザーであり、隊員登録や研修、出動を積極的に支援している。
5)在宅医療在宅人工呼吸患者を現時点で2名、診療している。慢性期人工呼吸患者を受入れる協力病院が組織化されれば、急性期から在宅まで一貫した管理が可能になる。
6)搬送エスコート重症患者の航空機搬送のエスコートに取り組んでいる。航空医学の知識も必要であるが、とくに国際搬送では学ぶところが多い。
7)学会など国内、国外を問わず、積極的に支援する。今のところ大学院生はいないが、学位希望者がいれば積極的に支援する。
8)その他人生に肯定的な姿勢は全面的に尊重する。留学、進学(法科大学院に入学した者もいる)、子育て、など個人の重要事を組織の都合で歪めることはしない。なお福家は海外医療支援で10年にわたりネパールで活動しているが、若手医師、看護師も何度か同道しており、いちように視野が広がったことを感じている。
9)施設認定日本集中治療医学会専門医研修施設第33号
日本救急医学会指導医指定施設第075号
日本アフェレシス学会認定施設第S06011号
将来の就職先について
原則として、社会的に必要とされる知識と技術をもっており、競争相手が少なければ就職に困るはずがない。当施設で研修した医師の現在の立場や社会の需要から考えると、
  • 大学病院、地域中核病院での集中治療、救急部門担当医師
  • 全身管理の知識・技術を特技として他の診療科に転科
  • 大学院や留学
  • 慢性期人工呼吸管理施設
  • 慢性期血液透析施設
  • 在宅診療医
などが予想される。
人工呼吸器をつけながらでも歩行訓練をする積極性が当ICUの真骨頂。見学者は皆驚きます。この患者さんは重症の腹膜炎、敗血症だったが元気に退室しました。

連絡先及び応募先
 〒299-0111千葉県市原市姉崎3426-3
 帝京大学ちば総合医療センター 救急集中治療センター
 Tel.0436-62-1211(内線3320)
 mail.uken@med.teikyo-u.ac.jp


1 当センターERでは、いわゆるER型(米国式)救急診療を行っており、1次~3次まで全ての救急症例を年間1万5千人以上(救急車3000台以上)診察しています。小児の発熱・喘息発作から多発外傷・ショック・心肺停止の症例まで、一晩に30~60人ぐらいの救急症例が来院されます。後期研修医に対しては、日本救急医学会ER検討委員会のプログラムに沿った臨床教育を行っています。
全国に78ある救急指導医施設の1つですので、救急科専門医はもちろん救急指導医も取得可能です。また、大学病院として学位を指導し、海外留学も積極的にサポートしています。現在も数名がアメリカでトレーニングを受けています。
場所は千葉県市原市にあり、東京から電車で約60分ですので、学会等への参加も便利です。オフは完全にフリーというER方式の利点を最大限に活用した勤務を組んでいます。
首都圏でER方式の救急医療・教育・研究に興味を持っておられる方は是非ご連絡ください。夏休みや冬休みの見学も大歓迎です。宿泊施設も完備しています。

帝京大学ちば総合医療センター
救急科教授 山下 雅知(やました まさとも)

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