特殊外来の紹介
緑内障外来
緑内障は大変に頻度の高い疾患で2001~2002年に多治見市で行われた緑内障の調査によれば、
40才以上の多治見市民のうち5.0%が緑内障であり、そのうちの過半数が眼圧が正常範囲内である正常眼圧緑内障でした。
さらに、調査で発見された緑内障症例の9割以上が眼科未受診であったこともわかりました。
緑内障はかなり進行するまで自覚症状に乏しいので、眼科に受診しないうちに緑内障による視野障害が
進行している患者さんがたくさんいることが予想されます。
緑内障で障害された視野は治療を開始しても回復しないため、緑内障は早期に発見して治療を開始し、
進行予防に努めることが最も大切です。当院では緑内障専門医による詳細な視神経乳頭評価およびOCTや
Humphrey MatrixおよびUBMなどの最新の緑内障性視神経障害解析機器を用いて早期緑内障診断に努めています。
緑内障治療の基本は薬物療法ですが、薬物療法だけでは眼圧のコントロールがつかない場合手術療法が選択されます。
当院ではレーザー治療および病態に応じたさまざまな手術を行っており、全ての病型、病期の緑内障に対応しています。
緑内障で障害された視神経乳頭。上耳側に乳頭陥凹拡大および網膜神経線維欠損を認める。
視野検査結果。視神経乳頭の所見に対応する視野欠損を認める。
OCT(光干渉断層計)で見た視神経断面図
OCTによる網膜神経線維層の測定。青い線が神経線維層の厚さを示している。
従来の視野計でボーダーラインと診断されたが Humphrey Matrix の結果では正常範囲外(緑内障)と診断された。
超音波で観察した隅角。プラトー虹彩の症例で、前方に偏位した毛様体によってスリット状になった隅角が見える。
線維柱帯切開術術中写真。 症例に応じて最適と考えられる術式を選択している。
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特殊白内障外来
白内障は加齢性のものがほとんどを占め、40歳台で40%、50歳台で60%。
60歳台で80%の方がある程度は白内障を持っていると報告されています。
このような通常の白内障に対する手術適応は視力の低下具合に加え、患者さん自身の不自由度などを考慮して決定します。
一方、アトピーによる若年性白内障、外傷性白内障、緑内障特に嚢性緑内障に合併した白内障などの術中合併症頻度が高く
手術難度が高い症例に対しても、精密かつ丁寧な手術により対応しています。
また緑内障手術後や硝子体手術後は高率に白内障を発症しますが、そのような症例に対しても豊富な経験があり、
安全な白内障手術施行を目指しています。
当院では十分な術後管理を行うため通常入院していただいて白内障手術を行っています。
しかし、術後の通院に支障のない方であれば日帰りで手術をすることも可能です。
また、以前白内障の手術を受け、眼内レンズが入ったのにそれが落下してしまったような症例や、
眼内レンズの入っていない症例に対し、眼内レンズ強膜固定手術などの治療を行っております。
水晶体が脱臼しているMarfan症候群の症例
成熟白内障の小切開手術
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斜視・眼筋麻痺・弱視外来
斜視や眼筋麻痺あるいは弱視は、一見同じようにみえても様々な種類のものがあり、
診断や治療が難しい場合も少 なくありません。
また、検査にも特殊なものが多く、きわめて専門性の高い分野です。
斜視・弱視・眼筋外来の近年の年 間新来患者様(過去に一度でも来院された患者様を除く)の数は
斜視・眼筋麻痺約1200、機能性弱視200であり、再来 を含めるとその数倍の患者様が受診されます。
また、斜視・眼筋麻痺の年間手術件数は約500で、わが国屈指の症例数を誇ります。
これらの豊富な臨床経験を生かしながらも、学会等を通して常に客観的評価を加えており、
根拠に基づ いた適切な診断と治療を行うよう心掛けております。
診療は医療技術学部視能矯正学科との連携のもとに行っており、
検査は国家資格を持つ視能訓練士が担当し、最終診断および治療方針の決定は原則として
専門外来の教授、助教授、講師が行います。
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視能矯正・眼振外来
毎週月(予約制)
視能矯正
赤ちゃんは、生まれて間もなくは明暗を感じるだけです。生後3か月頃から目の前に動く物がはっきりと見えてきて、正常に発達すれば6歳頃までに成人と同等の視力が得られてきます。
弱視とは、幼小児期に何らかの原因で視覚の発達が抑えられて、正常の視力が出ない状態です。弱視にはいろいろな種類があり、視力不良の程度も個人個人でさまざまです。
斜視や遠視などが原因となる弱視を機能弱視といいます。機能弱視の主なものには斜視弱視、不同視弱視、屈折異常弱視などがあります。
- 斜視弱視:生まれて比較的早い時期に斜視が起こることにより、斜視となっている眼の視力発達が抑えられた状態。
- 不同視弱視:遠視などの屈折異常があり、左右の眼でその度数に大きな差があるために、度が強い方の眼に鮮明な像が結ばず視力の発達が抑えられた状態。
- 屈折異常弱視:両眼に強い遠視や乱視があるために、両眼とも鮮明な像が結ばず視力の発達が抑えられた状態。
視能矯正外来ではこれらの弱視に対して、各患者さまの病態により、最も適切と思われる方法で弱視治療を行っています。
※斜視弱視は、斜視があるので早期に眼科を受診することが多いのですが、
不同視弱視と屈折異常弱視は外観上正常ですので、検診などでの視力検査がないと発見が遅れてしまうことがあります。
一般に3歳前後になれば視力検査ができるようになりますから、きちんと視力検査を受けて早期に発見することが大切です。
眼振
眼振とは眼球振盪(しんとう)ともいい、眼が揺れる病気です。
生後早い時期から起きてくる先天眼振と、脳や耳の神経の病気で起きてくる後天眼振とがあります。
先天眼振では、視力不良や顔回しなどの頭位異常がみられることがあります。
後天眼振では、物が揺れて見えたりめまいを感じたりします。先天眼振、後天眼振ともいろいろな種類があり、眼の揺れ方もさまざまです。
眼振外来では主に先天眼振に対して、眼振電図や電磁誘導式眼位測定装置(サーチコイル法)を用いて
眼振の種類や揺れ方を解析し、治療方針の相談などをしています。後天眼振に関しては、
その原因となる脳や耳の病気に対して専門の診療科を紹介しています。
予約方法
午前の眼科一般外来をまず受診していただき、特殊外来として受診日時を予約させていただいております。
また、弱視や眼振に関してのセカンドオピニオンも承ります。
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眼の形成外科・眼瞼痙攣治療・涙道疾患眼窩疾患外来
手間ひまかけた「手作り」診療をしております。患者様一人ひとりに十分な診療時間を確保するために、当外来予約の患者様を優先としています。
予約外あるいは一般外来予約の方は、緊急疾患を除き、長時間お待ちいただくか後日診療となります。ご了解ください。
眼の形成外科(木曜日)
眼瞼には、眼瞼下垂や眼瞼内反をはじめ、多様な疾患があります。これらの疾患は、視力や両眼視などの視機能だけでなく、整容上の問題も生じており、その改善を希望される患者様は少なくありません。しかも、「どのような形にしたいか」は、患者様一人ひとり全く異なります。当外来は、こうした多様なニーズに対応すべく、事前に十分な打ち合わせ、説明を行ってから、手術治療に臨むという診療方式をとっています。 こちらから手術治療を強要することはありません。 昔の写真、手術歴がある方は紹介状や手術記録、かかりつけ医(内科など)の紹介状を前もってご用意いただければ、診療がスムーズになります。
眼瞼痙攣治療(月・木曜日)
眼瞼痙攣・顔面痙攣などの疾患に対し、ボツリヌス毒素や手術治療を行っています。 手術歴がある方は紹介状や手術記録などを前もってご用意いただければ、診療がスムーズになります。
涙道疾患・眼窩疾患(月・木曜日)
涙嚢炎や眼窩腫瘍などの疾患は、他科との境界領域で、生命予後に関わる疾患も少なくありません。
当科は、こうした疾患を扱う、数少ない眼科の一つです。予約患者様を優先としていますが、緊急治療にも応じています。
眼科的検査だけでなく、画像・血液・病理検査などを駆使し、診療しています。
少人数で対応しているため、単なる涙道洗浄処置についてはお引き受けかねます。
先天性鼻涙管閉塞の場合、受診2時間前からは絶飲食状態にしておいてください。
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