脂質の領域
青字
の項目はクリックできます。執筆者の力作をご覧ください!A 脂質
定義
1)脂肪酸を構成成分として共有結合で持つ
2)(それ故に)水に溶けない
註2註1定義は長い伝統が有り議論が有りますが、あまり昔のことにこだわらずに、脂質を専門としない研究者に理解されやすいようにしました。脂肪酸の定義は脂肪酸の項参照。共有結合は主としてエステル結合、酸アミド結合。
註2脂肪酸ではなく脂肪酸の主な相手になるアルコールで分類してみました。分類
[モノオール+脂肪酸]
蜜ろう(混合物),鯨ろう(混合物),ミリスチン酸セリルetc.,コレステロールエステル
[ジオール…エチレングリコールプロピレングリコールetc.脂肪酸]
ジアシルグリコール,モノアシルグリコール
[トリオール…グリセロール+脂肪酸+その他]
a) 中性脂肪
[グリセロール + 脂肪酸]
モノアシルグリセロール=モノグリセリド=MG
ジアシルグリセロール=ジグリセリド=DG
トリアシルグリセロール=トリグリセリド=TG
註3,4,5b)グリセロリン脂質
[グリセロール+脂肪酸+リン酸 + その他]
ホスファチジン酸= ジアシルグリセロールホスフェート
ホスファチジルコリン=ジアシルグリセロールホスフェート =レシチン(旧称)
ホスファチジルエタノールアミン
ホスファチジルセリン
ホスファチジルイノシトール
ホスファチジルイノシトールリン酸誘導体
カルジオリピン=1,3-ジホスファチジン酸グリセロール
プラスマローゲン(註3 参照 エーテルリピド)
リゾリン脂質 (註4参照 リゾレシチン)
P-C化合物=ホスホノリピド註5
註3 脂肪酸ではなく長鎖アルコールがグリセロールにエーテル結合あるいはビニルエーテル結合をしているものがあります。それらのエーテル結合を含むものをエーテルリピドと一括する場合があります。
註4 脂肪酸1分子が離脱したもので主としてグリセロールの2位が−OHになっているもの。
註5 通常グリセロールとリン酸の結合はリン酸エステル結合で、リン酸とその他の成分(アルコール)との結合もリン酸エステル結合で、リン酸ジエステル構造になりますが、その他の成分との結合がP-C結合になるものがあります。型の上ではホスホン酸とアルコールの結合と見ることが出来、この構造を一括してホスホノリピドということがあります。
[グリセロール+脂肪酸+糖]
モノガラクトシルジグリセリド(MGDG) ,ジガラクトシルジグリセリド(DGDG)
4)ポリオールリピド
[糖,アルコールなど+ポリオール+脂肪酸+その他]
5)スフィンゴリピド註6
[スフィンゴシン+脂肪酸+その他]
註6スフィンゴシンはジオール、モノアミン構造があり、脂肪酸は通常酸アミド結合で構成成分となっている。スフィンゴシンの種類についてはスフィンゴシンの項参照。
a)セラミド
[スフィンゴシン+脂肪酸]
b)スフィンゴリン脂質
@セラミドリン酸
[スフィンゴシン+脂肪酸+リン酸]
Aスフィンゴミエリン
[スフィンゴシン+脂肪酸+リン酸,コリン]
c)スフィンゴ糖脂質 註7
[スフィンゴシン+脂肪酸+糖]
註7Ceramideに付く糖鎖(ヘキソース,ヘキソサミン)を主幹と見なし、Fucose,NANAはそれに付く側鎖と見なして分類した。(別紙)
6)脂肪酸を共有結合する複雑な化合物
[リポ多糖+lipidA]
B 脂質分解物のうち水に解けないもの
中,長鎖脂肪酸 (パルミチン酸)
長鎖アルコール (青葉アルコール,コレステロール,パルミチルアルコール)
長鎖アルデヒド (パルミチルアルデヒド)
<長鎖塩基 (スフィンゴシン)>
C 脂質と構造上の類似を持つ(長い炭化水素鎖がある)または脂質、脂質分解物から誘導されるもの
脂溶性ビタミン(ビタミンA,カロチノイド,ビタミンK,ビタミンE)
CoQ
プラスタノイド
コレステロール誘導体(ステロイドホルモン,胆汁酸,ビタミンD)
ステロール配糖体(植物ステロール)
炭化水素
D リポタンパク質(分子集合体)
註81)血漿リポタンパク質
2)卵黄リポタンパク質
3)乳汁リポタンパク質
註8リポタンパク質は脂質などA〜Cと同列に分類されるべきものではありません。A〜Cは分子ですが、リポタンパク質はA〜Cを含みさらにアポリポタンパク質と集合体を形成するもので個々の成分の間に共有結合があるとは思われません。細胞の膜成分を不溶性リポタンパク質と分類する人もあります。