近年の脳神経外科手術は、手術用顕微鏡の普及により、治療成績が飛躍的に向上しました。しかしながら顕微鏡で頭蓋内の手術をするには、「開頭術」といって、頭蓋骨をある程度大きく外して脳組織を露出して手術をおこなうことになります。これに対し、病気の種類によっては、「脳専用の内視鏡」である「神経内視鏡」を用いて小さな皮膚切開で手術を行う事が出来、これを「神経内視鏡手術」と言います。この手術の到達方法は、「開頭術」に対して「穿頭術(せんとうじゅつ)」といい、頭蓋骨には1円玉よりも一周り小さな孔(約15mm)を開けるだけです。そこから脳を穿刺して神経内視鏡を挿入します。頭蓋内の映像をモニターに映しながら、内視鏡を操作します。内視鏡には先端が曲がる軟性鏡と、曲がらない硬性鏡があります。これらは手術によって使い分けます。このうち軟性鏡はいわゆる「胃カメラ」と同じ形状をしていますが、さらに細く(直径4.8〜5mm)繊細に作られています。内視鏡を通して鉗子やバルーンカテーテルを使う事も出来、先端を自由に動かせるため、複雑な操作が可能です。神経内視鏡は、日本では1990年代に本格的に手術に導入される様になり、これによって、より低侵襲な手術が可能になりました。当院では、1996年から手術に用いて成果を上げています。
低侵襲な内視鏡手術ですが、すべての疾患に対しておこなえるわけではありません。当院の神経内視鏡グループの方針として、内視鏡の手術適応をきわめて慎重に検討しております。我々は内視鏡手術と同時に顕微鏡手術の専門家でもあります、あくまでも内視鏡手術は手段の一つであり、他の治療法より明らかにメリットがあると判断した場合にのみ内視鏡手術を選択します。患者さん一人一人において、もっとも適している治療法を、むしろ内視鏡にこだわらずに大局的に考え選択しています。顕微鏡手術を中心におこない、内視鏡を補助的に使用する手術を選択することもあります。 現在、内視鏡手術に最も適しているのは「閉塞性水頭症に対する第三脳室底開窓術」や「脳室内腫瘍の生検術」といった、脳室内操作が中心となる疾患であると考えています。よって、1996年から、水頭症に関する手術を中心に、のべ約60例以上の内視鏡手術をおこなってきております。水頭症や、脳室内腫瘍を指摘された場合、まずは外来にてご相談下さい。手術適応について検討し、詳しく分かりやすくご説明いたします。
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閉塞性水頭症に対する第三脳室底開窓術 |
脳室内腫瘍に対する生検術 |
平成17年 | 平成18年 | 平成19年 | ||||||
閉塞性水頭症 |
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脳内出血 |
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その他 |
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合計 |
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | |||||||||||||
午前 | 午後 | 午前 | 午後 | 午前 | 午後 | 午前 | 午後 | 午前 | 午後 | 午前 | ||||||||
(助手) 永島博 |
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(助教) 石井映幸 |
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永島博 (ながしまひろし) 帝京大学医学部卒。帝京大学大学院などを経て、平成10年より現職。日本脳神経外科学会専門医、日本神経内視鏡学会技術認定医、医学博士 |
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石井映幸 (いしいてるゆき) 帝京大学医学部卒。帝京大学大学院、帝京大学助手を経て、平成19年より現職。 日本脳神経外科学会専門医、日本神経内視鏡学会技術認定医、医学博士 |
帝京大学医学部脳神経外科 神経内視鏡グループ
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Last update: 2012-08-31