研究紹介Our research


日々の食生活で多様な食品を食べていない独居高齢者の特徴は何か?
(福田 吉治教授)

日本を筆頭として、世界的に少子高齢化が急速に進んでいるため、高齢者が健康に生活を送れることが重要課題となっています。高齢者が健康でいられるための重要な要素として、安心して、安全な食が入手・摂取できること(フード・セキュリティ。注1)と日々の栄養摂取が挙げられます。このフード・セキュリティや栄養摂取の状況を表す指標としては、日々の食生活で多様な食品を食べること、すなわち、“食物多様性”が用いられてきました。しかしながら、国内の先行研究では、多様な食品をとりづらいと考えられる独居高齢者を対象として、食品多様性を確保できている高齢者の特徴について明らかにした研究はありませんでした。そこで、日本の独居高齢者における食物多様性に関連する要因を明らかにし、Geriatrics & Gerontology Internationalに報告しましたので、主な結果を紹介します。

 今回の研究では、日本の3つの自治体に住む65歳以上の独居高齢者を対象に2014年に横断調査を行いました。食に関する調査は、食物頻度調査(food frequency questionnaire: FFQ)を用いて10種類の食物群の摂取状況を把握し、2日のうち少なくとも1回摂取した食物群の数から食品多様性スコアを計算しました。その他、性、年齢等の基本的属性、所得、ソーシャルサポート、フレイル(注2)等についても質問紙にて回答を求めました。また、住所の情報から、地理情報システム(geographic information system: GIS)を用いて自宅から最も近いスーパーまでの距離を計算しました。回答のあった者のうち、欠測値を除く704名の男性と1366名の女性のデータを使用し、食品多様性スコアの低いこと(10食品群のうち4群未満)に関連する要因をロジスティック回帰分析によって男女別に検証しました。

 本研究では、食品多様性スコアが低い者は特に男性で多く、その頻度は男性で約4割(40.9%)、女性では約2割(18.4%)でした。男女ともに、食品多様性が低いことに関連したのはフレイルと低いソーシャルサポート、そして低い年収でした。スーパーとの距離は食品多様性と明確な関連を示しませんでした。

 

 
 今回の調査から、フレイルに加えて、ソーシャルサポートが少ないことや、経済的に不利な状況にあることが食品の多様性の低さと関連することがわかりました。これらの結果から、高齢者の食へのアクセスや健康的な食事の確保するためには、本人の心身の健康を維持することとともに、身体的および社会的な弱者へのフォーマルおよびインフォーマルのサポートが重要であると考えられます。

(注1)フード・セキュリティ:食料安全保障と訳される。
(注2)フレイル:高齢者の「虚弱」や「脆弱」などを意味し、「加齢とともに心身の活力(運動機能や認知機能等)が低下し、複数の慢性疾患の併存などの影響もあり、生活機能が障害され、心身の脆弱性が出現した状態で、適切な介入・支援により、生活機能の維持向上が可能な状態像」とされている。


【発表論文】
Fukuda Y, Ishikawa M, Yokoyama T, Hayashi T, Nakaya T, Takemi Y, Kusama K, Yoshiike N, Nozue M, Yoshiba K, Murayama N. Physical and social determinants of dietary variety among older adults living alone in Japan. Geriatrics & Gerontology International. 17(11): 2232-2238, 2017 [More information]


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