部門・担当医紹介
内視鏡センター
 当院の内視鏡センターでは食道・胃・十二指腸の検査・治療を行う上部消化管内視鏡検査、直腸・大腸の検査・治療を行う下部消化管内視鏡検査、肝臓・胆道・膵臓の検査・治療を行う内視鏡的逆行性胆道膵管造影検査、小腸の検査・治療を行うカプセル内視鏡検査および小腸内視鏡検査、消化管壁の断層構造を精査する超音波内視鏡検査、肺・気管支の検査・治療を行う気管支鏡検査など、ほぼすべての領域の内視鏡検査を実施しています。2014年にESDという消化管早期癌に対する内視鏡治療のエキスパートである道田知樹、東納重隆の2名の医師が着任し、内科医師、外科医師が協力して内視鏡治療をより積極的に実施しています。

1.上部消化管内視鏡検査
 食道・胃・十二指腸を観察し、病気の診断を行うとともに、食道静脈瘤や胃潰瘍の出血を止血したり、早期癌を切除したりします。通常の診断目的の内視鏡検査は5分から10分程度で終了します。嘔吐反射が非常に強い方に対しては経鼻内視鏡検査や鎮静剤を用いた内視鏡検査(眠っている間に検査を実施します)を実施しておりますので内視鏡検査を申し込まれる際にお申し出下さい。ただし休憩スペースや内視鏡の本数に限りがありますので必ずしもご希望の日に実施できないこともありますのでご了承ください。
 胃癌の原因として有名になったピロリ菌の存在診断や除菌治療(菌を退治する治療)の前には内視鏡検査を実施することが必須条件となっております。人間ドックや検診でピロリ菌陽性と診断された場合にも除菌治療前に内視鏡検査を受ける必要があります。
 早期胃癌、早期食道癌に対しては内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD:endoscopic submucosal dissection)という内視鏡治療を積極的に実施しています。道田知樹医師はこのESDという治療に関しては全国的に有名で海外でも内視鏡治療の指導を実施しております。また、東納重隆医師はアスピリンやワーファリンなどの抗血栓薬を服用中の患者さんにおけるESDを多数実践しており、丁寧なESDを実施するように心がけております。最近は近隣の医療機関からのご紹介も多く、多数のESDを実施しておりますので早期癌の治療を希望される場合には遠慮なく消化器内科の外来でご相談ください。

【胃ESD】
胃ESD
胃体部(胃の中部)小弯に発見されたやや広範囲の早期胃癌。癌の範囲をわかりやすくするため、インジゴカルミンという青い色素を散布しています。
胃ESD
粘膜下層剥離術専用の電気メスを用いて早期胃癌のすぐ下の層(粘膜下層)を剥離します。
胃ESD
粘膜下層の剥離が進んで早期胃癌が存在する表面の部分(粘膜)が剥がれてきました。
胃ESD
粘膜下層剥離術が終了したところ。大きな合併症はなく終了しました。
胃ESD
最大径50mm程度のやや大きめの早期胃癌でしたが治癒切除されていました。
胃ESD
治療の1週間後の内視鏡所見。出血もなく潰瘍は治癒傾向で、無事退院されました。
 また、外科医と内科医の共同で腹腔鏡と消化管内視鏡の共同作業での胃部分切除手術(LECS:laparoscopy and endoscopy cooperative surgery)も導入し、胃粘膜下腫瘍に対する治療を実施しています。

2.下部消化管内視鏡検査
 直腸から盲腸、小腸末端部までを観察し、診断と治療を行います。下部消化管の内視鏡検査のためには腸の中を洗浄して便を除く必要があるため、通常は腸管洗浄剤という液体の下剤を2l程度飲んでいただく必要があります。2014年度よりモビプレップという新しい薬剤を導入し、薬剤1l+水500mlの服用で済む様になりました(味も改善されて飲みやすくなっています)。内視鏡検査そのものは5~10分程度で肛門から盲腸まで挿入し、観察しながら肛門まで抜いてきますので、開始から終了まで15~20分程度かかります。もともと腸が長い方や開腹手術をされたことがある方では挿入が非常に難しく、時間もかかることがありますので、必要に応じて鎮静剤を使用することもあります。
 下部消化管内視鏡検査で最も多く診断され、治療を実施しているのがいわゆる大腸ポリープです。ポリープは大きく良性と悪性(癌)に分類されますが境界病変も多く、大きさ5mm以上のものは切除が必要といわれています。また、近年は側方進展型腫瘍(LST:lateral spreading tumor)と呼ばれる平たいポリープの発見が増加しており、通常のポリープ切除術では切除が困難となっています。このような通常のポリープ切除術が困難な腫瘍に対してもESDの手技を用いて切除を行っています。その他、結腸憩室出血の止血や炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病)の診断、大腸腫瘍狭窄に対するステント留置なども実施しています。

【大腸ESD】
胃ESD
直腸の半周近くを占める早期の直腸癌。癌の範囲をわかりやすくするためインジゴカルミンという青い色素を散布してあります。
胃ESD
Hook knifeという粘膜下層剥離術専用の電気メスを用いて癌のすぐ下の層を剥離しています。大腸や直腸は消化管の壁が非常に薄いため、穿孔(腸壁に穴を開ける)させないように注意深く剥離を進めます。
胃ESD
合併症を生じることなく、粘膜下層剥離が終了しました。
胃ESD
最大径90mm近い大きな早期癌でしたが治癒切除されていました。患者さんも合併症を生じることなく、治療の5日後に退院されました。
3.内視鏡的逆行性胆道膵管造影(ERCP:endoscopic retrograde cholangio-pancreatography)
 側視鏡という型の内視鏡を用いて胆道、膵管の出口(十二指腸乳頭といいます)に細いカテーテルという管を挿入し、胆道、膵管を造影する検査です。胆道結石や胆道腫瘍、膵臓腫瘍などの検査・治療目的で実施します。最も頻度の多い疾患は総胆管結石です。胆石が胆道に落下して胆道が閉塞すると胆管炎という炎症を生じますので右上腹部痛や黄疸、発熱などの症状を生じます。内視鏡的に胆道の出口を切開もしくは拡張して詰まっている結石を除去します。近年、多数の結石が存在する患者さんや巨大な結石を有する患者さんに対して大口径のバルーンを用いた乳頭拡張術(EPLBD:endoscopic papillary large balloon dilatation)という治療手技が開発され、当院でも適応のある患者さんに対して積極的に実施しています。これまでは多発結石や巨大結石の場合には胆管内で結石を破砕して小さな破片にしてから除去していましたので、なかなか1回の処置ですべての結石を除去することができず、数回の内視鏡処置を実施する必要がありました。そのため長期間の入院期間が必要になり、何度も内視鏡を挿入するため患者さんの苦痛も多かったと思われます。大口径バルーンによる乳頭拡張術(EPLBD)では1回の処置で破砕することなく総胆管結石を除去できるため、ほとんどの場合、1回のみで処置を終わらせることができ、入院期間も短くて済むという利点があります。ただし、胆管の出口である十二指腸乳頭部を大きく拡張してしまうため、出血や穿孔などの合併症を生じる危険性や術後の逆行性胆管炎を生じる可能性もあり、適応を良く考えて実施する必要があります。
 また、腫瘍などで胆道が閉塞して黄疸を生じた患者さんに対してはステント留置などの処置を実施しています。このような内視鏡的逆行性胆道膵管造影という内視鏡手技は非常に有効な内視鏡検査なのですが出血や急性膵炎、穿孔などの合併症も多い手技です。できる限り合併症を生じないように細心の注意を払って実施するよう心がけております。

【EPLBD】
胃ESD
総胆管に15mm大の胆管結石を2個認めています(矢印)。
胃ESD
口径15~18mmの大口径拡張バルーンを用いて十二指腸乳頭(胆管の出口)の拡張術を実施しました。
胃ESD
矢印の間が拡張バルーンです。
胃ESD
乳頭拡張後に採石用のバスケット(金属線の器具)を用いて結石を破砕することなく除去しました。
胃ESD
除去した結石です。この方法では結石を破砕しなくて済むため、1回の処置でほぼすべての結石を除去することができます。
4.小腸内視鏡検査(カプセル内視鏡・シングルバルーン小腸内視鏡)
 胃と大腸の間に位置する小腸という臓器は長い間検査をすることが非常に困難とされていました。近年、カプセル内視鏡検査やバルーン内視鏡検査(2個のバルーンを用いるダブルバルーンと1個のバルーンを用いるシングルバルーンがあります)などの開発があり、小腸に対しても詳細な検査や治療(止血や拡張術)を実施できるようになりました。
 消化管出血が疑われるにもかかわらず、通常の上部、下部の内視鏡検査では異常が見つからなかった場合には小腸疾患を疑う必要があります。クローン病や過去の消化管手術などの既往がなく、小腸狭窄の疑いがなければカプセル内視鏡の良い適応になります。ただしカプセル内視鏡検査では止血などの治療はできませんので治療が必要な疾患が発見された場合にはバルーン小腸内視鏡検査を実施する必要があります。当院ではシングルバルーン内視鏡検査を導入しており、必要に応じて実施しています。バルーン内視鏡検査は操作が難しく、かなりの労力と時間を要しますので通常は入院していただいて実施することになります。

5.超音波内視鏡検査
 内視鏡の先端に超音波断層撮影の装置が組み込まれたもので、消化管壁の層構造を調べたり、消化管に隣接する胆嚢や膵臓などの疾患を詳しく調べるために実施します。通常の内視鏡の鉗子孔から挿入できるプローブタイプの超音波内視鏡もありますが、検査の対象疾患や対象臓器によって使用する超音波内視鏡の機材が異なりますので検査を受けられる際に説明いたします。超音波内視鏡から組織を採取するための針(生検針)を出して病変を穿刺し、病理学的な検査を行う(FNA:fine needle aspiration biopsy)ことも実施していますが、機材の準備が必要になるため、事前の日程調整が必要になります。

6.気管支鏡検査
 太さ5mm程度の細い内視鏡を気道に挿入して気管支や肺を調べる検査です。気管支や肺の一部を採取したり、気管支内の洗浄液を調べたりして、血痰や肺の異常陰影などの原因を調べることができます。肺癌などの様々な呼吸器疾患の診断に有用な検査です。検査の目的などにより検査時間や入院の必要性などが変わりますので、詳しいことは呼吸器内科の外来受診時にご相談ください。

担当医
山崎 将人
病院教授 山崎 将人
出身大学富山医科薬科大学 昭和61年卒 医学博士
専門分野消化器外科
肝胆膵
消化器内視鏡
内視鏡外科
専門医等日本外科学会専門医・指導医
日本消化器内視鏡学会専門医・指導医
日本消化器外科学会専門医・指導医
肝胆膵外科高度技能指導医
日本内視鏡外科学会技術認定医
日本胆道学会指導医
腹部救急暫定教育医・認定医
日本臨床外科学会評議委員
日本内視鏡外科学会評議委員
日本腹部救急医学会評議員
日本肝胆膵外科学会評議員
国際外科学会日本部会幹事
膵臓内視鏡外科研究会世話人

~2015年度~
研究について
  • 講演
  • 新たな酸分泌抑制薬ボノプラザン 実臨床での処方のポイント
    H27/05/14 市原市医師会学術講演会
  • 内視鏡治療と抗血栓療法
    H27/07/15 第12回市原消化器疾患フォーラム
  • 抗血栓薬継続下での内視鏡治療
    H27/07/30 第31回相模消化器研究会
  • 炎症性腸疾患の最新情報と病気との上手な付き合い方
    H28/01/14 市原市保健福祉センター医療講演会
  • 整形外科領域における酸分泌抑制策の使い方
    H28/02/04 君津木更津整形外科医会学術講演会
  • NSAIDsおよび抗血栓薬と内視鏡治療
    H28/02/05 南房総臨床薬学セミナー
  • 上部消化器内視鏡治療の現状と問題点
    H28/03/04 東葛消化器疾患を考える会
  • 消化管疾患と酸分泌抑制薬の使い方
    H28/03/10 市原医師会学術講演会
  • cold polypectomyの現状と問題点
    H28/03/18 松戸医師会消化器研修会
  • 学会発表
  • 深澤弘行、東納重隆、鍋谷雅史、東郷剛一、道田知樹:内視鏡的切除を行った十二指腸乳頭部神経内分泌腫瘍の一例
    H27/04/10 第112回日本内科学会総会ポスター
  • 深澤弘行、東納重隆、道田知樹:Usefulness and complications of cold forceps polypectomy for colorectal polyps using jumbo forceps.
    H27/10/10 第23回日本消化器関連学会パネルディスカッション
  • 落合彩子、深澤弘行、村木洋介、東納重隆、道田知樹:閉塞症状を呈し、内視鏡的粘膜下層剥離術にて切除した十二指腸球部原発の巨大Brunner腺腫の一例
    H27/12/12 第101回日本消化器内視鏡学会関東地方会(口頭発表)
  • 学術論文
  • Shigetaka Tounou, Yasushi Morita, Tomohiro Hosono, Hideaki Harada, Kenji Hayasaka, Yasushi Katsuyama, Satoshi Suehiro, Seishi Nagano, Takanori Shimizu; Endoscopic submucosal dissection for early gastric cancer without interruption of warfarin and aspirin.
    Endosc Int Open. 2015 Aug;3(4):E307-10
  • 原稿執筆
  • 消化器疾患:特殊型胃炎(メネトリエ病を含む)
    日本医事新報社 JMEDJ治療法便覧2016
  • 症候からのアプローチ:吐血
    診断と治療社 消化器研修ノート 改訂第2版
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