大脇 和浩（おおわき かずひろ）教授

教員からのメッセージ

　臨床の現場では日々確証のない中、人の命に関わるかもしれない疑問に対し、何らかの決断をしなければならないことばかりです。何千、何万人といったデータを集めないとわからない疑問もありますが、普遍性を求めるあまり多施設等で行った研究の結果は、その分ばらつきが多くなり、自分の現場で求める情報であるとは限りません。自分が向かい合っている患者さんのデータを集めて、現場の経験をもとにそこから何かを発見すれば、そのまま利用できる可能性があります。そしてそれは似たような患者さんを診ている世界中の他の医師にとっても役に立つはずです。
　臨床疫学は必ずしも医師・患者に限ったものではなく、保健医療に関わる現場における様々な疑問に対する答え「科学的真実」を明らかにするために必要な学問だと考えます。新たな発見をする、それはたとえ小さいことでもとても魅力的なことだと思います。そして純粋な科学だけでは解決できない、実践的な側面からいろいろなことを総合的に学べるのが公衆衛生です。幅広い領域の方々に、ぜひ関心を持っていただけたらと思います。

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