小児科領域の腎疾患は先天性と後天性の2つに分類されます。
先天性腎疾患は小児期における末期腎不全の最大の原因であり、早期発見と適切な治療介入による腎予後の改善をめざしています。逆流性腎症、後部尿道弁、染色体異常に伴う先天性腎・尿路疾患は泌尿器・小児外科領域とも関連するため、小児外科と密接に連携して診療を行っています。
後天性腎疾患は多種多様であり、腎炎、ネフローゼ症候群といった腎実質疾患の他にも、夜尿症、尿失禁、尿路結石といった泌尿器領域の疾患まで対応しています。
当グループは血液浄化療法や腎・肝移植を含む小児腎臓病の診療で豊富な経験をもつ2名が担当しており、様々な疾患に対応いたします。腎疾患は小児から成人期へキャリーオーバーすることも多く、該当する方に対しては円滑に移行(transition)できるように、腎臓内科と連携して診療を行っています。
小児特発性ネフローゼ症候群は小児腎臓領域の代表的な疾患ですが、原因は未だ解明されていません。これまでの研究で、ヘルパーT2(Th2)細胞の増加とTh2サイトカインの血清インターロイキン4の減少が、頻回再発を早期に検出できる指標となりうることを見出しており、長期観察による検証を行っています。
腎炎の診断では腎生検による病理診断が必要です。一方で腎生検は侵襲的な検査であり、大量出血や腹腔内臓器損傷といった合併症のリスクも伴います。小児では検査への協力が得にくいことが多く、生検時に全身麻酔等による強い鎮静がしばしば必要で、検査に伴う負担が成人よりも大きいことが問題でした。このため、もともと中枢神経領域で行われてきたMRIによるtractography(神経線維では水分子の移動方向が限定されることを利用し、神経線維の走行をMRIで描出する方法)を腎に応用し、文部科学省科学研究費(基盤研究(C) 26461621)を得て、腎炎の組織変化をtractographyによって診断する方法を米国と共同で開発しています。
他の診療グループや他施設との共同研究を行っており、 多種の研究手法を小児疾患全般に応用し、病態解明を行っています。例えば、当グループの髙橋は細胞免疫学の手法を用いてサルモネラ菌血症ではCD4とCD8の両方が陰性のT細胞が著増することを見出し、菌血症の新たな迅速スクリーニング法となりうることを示しました。
髙橋 和浩 | 講師 |
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友利 伸也 | 助手 |
地域医師会の先生方と連携し、小中学校の腎臓検診(2・3次検診と有所見者への対応)を行っています。