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MPH在学生の寄稿

2020.10.27

知っているようで本当は奥が深い病気:肺炎 Part 2

オンライン帰省で食べ方チェック!?

2回目は誤嚥性肺炎について、その予防法をお伝えしたいと思います。

あなたの親御さん、最近、食事中にむせていませんか?
「飲み込みにくくなった」とおっしゃられる方もいるかもしれません。
飲み込みのしづらさ、これは嚥下障害(えんげしょうがい)という症状の一つです。
この障害が進むと、誤嚥性肺炎を生じることがあります。

誤嚥性肺炎とは、誤嚥により生じる肺炎のことで、食物だけでなく、胃の内容物や唾液を誤嚥し咳反射でこれらを除去できないとき生じる肺炎です。
通常、健常な方は誤嚥や喉頭の中に食物が侵入すると、咳をしたりむせたりすることで防御反応を行うことができます。
しかし、高齢になると誤嚥をしても咳が出なかったり、咳が非常に遅れることがあります。この防御反応の遅れが誤嚥性肺炎を引き起こします。
これは高齢の方に限らず、脳梗塞の既往がある方やパーキンソン病など神経難病の方にも起こりやすい肺炎です。

「離れていると、悩みを聞けても、どうしていいかわからない」
そんな時こそ、オンラインの出番です。

今年は新型コロナウイルスの影響で実際の帰省ができず、かわりに、「オンライン帰省」が推奨されました。
定着するには時間がかかりそうですが、オンラインを使うと、意外なところで食べにくさを改善するポイントが見つかるかもしれません。
食べにくさの改善は、誤嚥性肺炎の予防につながります。

では何をチェックしたらいいのでしょうか?
誤嚥性肺炎の予防は色々とありますが、まずは次の二つが大切です。
1、食べている時の姿勢チェック
2、口腔ケア

1、食べている時の姿勢チェック
オンラインでもチェックしやすいポイントのひとつです。
食卓と椅子の高さがあっていない、あるいはテレビを見ながら食事をする習慣があるため、背筋が丸く、顎を突き出したような姿勢でご飯を食べていることはないですか?
画面を通して親御さんの食卓をチェックしてみてください。
思ったよりも食卓が低い、あるいは高すぎると感じるかもしれません。
姿勢は誤嚥を予防する大切な要素のひとつです。食べている時の姿勢を整えるだけで、食べやすさが改善する方もいます。
食卓や椅子の高さの目安は、「背もたれのある椅子に深く腰掛けたとき足がつくか」「背筋を伸ばして食卓に肘を置いた時に90°くらいか」といわれています。
どうしても変えられない場合、足台など置いてみる、軽く顎を引いて食べてみる、などしてみてもよいかもしれません。

2、口腔ケア(歯磨き)
これはオンラインでは、さすがにチェックしづらいかもしれません。でも、声がけをすることはできます。
口腔ケアは、一番手軽に取り組むことのできる誤嚥性肺炎予防のひとつです。
口腔ケアは口の中を清潔に保つだけでなく、唾液の分泌を促し、保湿を行う作用もあります。
口腔ケアを適切に行うことでお口の中の病原菌の量が減り、唾液などを誤嚥しても肺炎になるリスクを減らせると言われています。
このときぜひ、「歯」だけでなく「舌の汚れ(舌)」や「歯と歯の間」にも注目してみてください。
舌の真ん中あたりに白くモヤモヤしているものがあれば舌苔です。
舌ブラシや歯ブラシで軽くこすり取り除きましょう。
また、歯と歯の間は歯ブラシの毛先が届かず菌が残っています。
ぜひ、デンタルフロスや歯間ブラシのご利用をお勧めしてみてください。

誤嚥性肺炎の予防は日々の生活に取り入れることができます。
あなたの親御さんが「最近飲み込みがしづらい」と悩んでいたら、画面越しに、一緒に食事時の姿勢をチェックしてみてはいかがでしょうか。
また、口腔ケアも「こんなグッズがあるよ」と紹介するのもいいかもしれませんね。
MPH1
年 今井

引用・参考文献
1)竹内由紀. 【速習!いまさら聞けない 誤嚥&誤嚥性肺炎】誤嚥を防ぐ食事の工夫 (1) 食事姿勢
リハビリナース 11(5): 506-507, 2018.
2)瀧内博也. “介護の力”で命を守ろう~口腔ケアで感染症予防を
ケアマネジメント 31(5): 28-31, 2020

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