沿革

代々の研究科長のメッセージ

 

2013年4月~2017年3月

熱きこころをもった保健医療の実践者・変革者を目指す方々の入学を期待します!
– 新たに2014年4月より博士後期課程が開設されます –

帝京大学大学院公衆衛生学研究科は、2011年4月に専門職学位課程として開設され、2014年3月には3期生が卒業します。私は2013年4月から研究科長として就任しました山岡和枝と申します。

本研究科は、わが国で初となる独立組織の公衆衛生大学院であるとともに、国際基準で必須とされる5分野(「疫学」、「生物統計学」、「環境・産業保健学」、「保健政策管理学」、「社会行動科学」)のカリキュラムを充実させてまいりました。

また、毎年1月には、ハーバード大学を中心とした5名の海外客員教授陣による5分野の特別講義(各8コマ)も実施してきました。この特別講義には米国を始めタイ、フィリピン、中国などアジア諸国を含めた各国から受講生が参加し、グローバルな環境の中で授業が展開されています。各分野の海外最新事情や最先端の知識に触れることができるこの特別講義は、ハーバード大学との学術提携(第3期帝京―ハーバードプログラム)の一環として行われております。

本研究科専門職学位課程は、公衆衛生の専門知識・技能と公衆衛生マインドを身に付け、公衆衛生の現場で発生する諸課題に対して指導的立場で且つ科学的判断に基づく問題解決を実践できる専門職(Professional)を養成する専門職大学院です。そのため学生の指導においては課題研究を最も重視しています。課題研究は講義や演習で培った知識・技能を実践の場に役立つ能力として集大成することを目的としており、科学的・学術的研究と実践教育との融合を図ったカリキュラムです。

この専門職学位課程を高度化し、そこで養成した専門職の活動を統括指導する上級管理者・上級指導者としての人材養成を目的として、本研究科に博士後期課程を2014年4月から新設することになりました。本博士後期課程は、真理探究・学術深化に特化した能力を求める医学研究科(社会医学専攻)等の従来の大学院博士課程とは目的を異にしており、ある意味日本で初めて、世界でも最先端の博士後期課程です。そこで養成されるのは単に優れた研究能力を有する研究者ではなく、保健医療の分野を大きく変革していける実践的な管理者や指導者です。今日保健医療の分野においても、急速に変動発展する国際社会と科学技術に対応するためには変革を先導し管理できる人材(Change Agent)の養成が急務だと言われています。そのような人材には、新規の問題に対する科学的な分析力、科学的根拠に基づいて提示・評価できる能力に加えて、問題解決に不可欠なリーダーシップ、マネージメント能力、コミュニケーション能力など実践面の能力(Competency)が必要とされます。博士後期課程ではこれらの能力を身に付け保健医療システムの変革に寄与できる人材の育成を目指した指導を行います。また公衆衛生学専門職学位(Master of Public Health)保有者以外の入学生も広く受け入れます。そこで専門職学位課程との接続性を担保するために、上述した5分野の共通科目と分野別(「疫学・生物統計学分野」、「環境・産業保健学分野」、「保健政策・医療管理学分野」)の専門科目を設けています。

2011年3月の東日本大震災以降、災害への対策やレジリエンスの構築に際し、ますます公衆衛生学的立場からの支援やその研究・教育の重要性が認識されています。本研究科でも被災地の実務家や研究者と協力し、大学院生を実践活動に数多く参加させ、人々の生命と健康を守るための総合的な問題解決に取り組んでまいりました。これからも本研究科では、保健医療システムの変革につながる公衆衛生教育の改革・発展の先駆者であり続けたいと願っております。熱きこころをもった保健医療の実践者・変革者を目指す多くの方々の入学を期待しております。

公衆衛生学第二代研究科長
山岡 和枝

 

 

2011年4月~2013年3月

人々の生命と健康という基本目的に対して、総合的な問題解決が出来る専門的職業人の養成を目指します。

帝京大学は、1993年以来ハーバード大学との学術交流を進めており、その最も重要な活動として2-3年ごとに国際共同シンポジウムを開催してきました。

特に2009年に開かれたその第7回ではHealthy Hospitalというテーマで患者、医療従事者とそれらを取り巻く地域社会の健康を論考するというものでしたが、これらの活動の集大成として、帝京大学はハーバード大学と共同して時代をリードする新たな公衆衛生大学院の設立を目指す運びとなりました。2010年春にはハーバード大学のFaust総長が来日し、各界の要人を前にハーバード大学が帝京大学と協力して公衆衛生大学院を設立するという計画を公的に発表しました。

このような経緯で2011年4月に開設された帝京公衆衛生大学院は、他の公衆衛生大学院にはない独自性を有しています。まず、わが国で初めて公衆衛生大学院の国際基準で必須とされる5分野(「疫学」、「生物統計学」、「環境保健学」、「保健政策・病院管理学」、「行動科学」)を科目編成しています。さらに、この5分野について、ハーバード大学等から各分野の世界的権威が来日し各8回の特別講義を担当します。この特別講義はハーバード大学を始め海外の学生の聴講も予定しており、本講義の履修により海外でも認定される単位を取得できます。

また、本大学院は他の学部や大学院の一部としてではなく、わが国初の独立専攻の公衆衛生大学院として設立され、研究者養成ではなく高度な専門的実務能力を有する職業人養成を目的とした実践教育を行う専門職大学院です。とりわけ、①病院の各部門や全体経営における管理運営の責任者の養成、②臨床試験をデザインし新薬や新治療法開発に従事する各種専門家の養成、③労働衛生コンサルタントなど専門的かつ指導的立場の産業保健従事者の養成、④国際機関やNGOに従事する国際保健実務のリーダーの養成については重点領域として養成カリキュラムを編成しています。このような人材の養成は社会的にも強く求められてきましたが、多くの教育組織では学術研究を中心とした研究者養成を目的としており、現場の問題に発し現場での実践に資する能力を養成する教育が十分には提供されてきませんでした。

先の地震、津波、そして原発事故に関して様々な専門家がメディアを通じて発言していますが、系統的な知識を実際の場に即して総合的に適用できる専門家は必ずしも多くはありません。そもそも人々の生命と健康という基本目的に対して、総合的な問題解決に取り組むのが公衆衛生です。この公衆衛生について系統的かつ実務に即応できる形で教育し、少しでも多くの人材を育てることを本大学院は目指しています。真の意味で人々や社会に役立つことを志す多くの方々の入学を期待しております。

公衆衛生学初代研究科長
矢野 榮二

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