研究科長の挨拶

Marketing Public Health
これからも公衆衛生大学院のフロントランナーとして

帝京大学大学院公衆衛生学研究科(帝京SPH)は、2011年4月に設置され、専門職学位課程を開講しました。Master of Public Health(MPH)に加えて、2014年4月にはDoctor of Public Health(DrPH)を取得できる博士後期課程も開講しました。我が国初の独立専攻の公衆衛生大学院(SPH)のひとつとして設立された帝京SPHは、設置前の準備期間を入れて約10年、国内SPHフロントランナーとして走り続けてきました。

帝京SPHの特長は、ハーバード大学等との連携のもと、国際基準で必須とされる5分野(疫学、生物統計学、産業環境保健学、保健政策・医療管理学、社会行動学)を基本としたカリキュラム、21世紀保健医療専門職の教育として必要とされるコンピテンシー基盤型教育を通じた問題解決のできる人材、すなわち、世の中や社会あるいは組織を変えることのできる”Change Agents”の育成です。さらに、外国講師によるハーバード特別講義や国際サマースクール、帝京大学産業環境保健学センター(T-COEH)と協働した産業保健高度専門職養成の大学院プログラム、医師の専門医制度に対応した帝京大学大学院・社会医学系専門医プログラムなど、スピンオフの教育プログラムも充実させてきました。

私たち帝京SPHの役割は、一言でいえば”Marketing Public Health”、すなわち、公衆衛生を売り込み、広めることです。より具体的に、人々に予防・衛生に関する知識や行動を広め、実践してもらうこと(Marketing Public Health ”Behaviors”)、人々の健康を支援する公共政策を推進すること(Marketing Public Health ”Policies”)、公衆衛生や保健医療福祉に関する研究を促進すること(Marketing Public health Research”です。さらに、専門職大学院として重要なのは、高度なコンピテンシーを持つ公衆衛生の専門職を育成し、帝京SPHだけでなく、他のSPHや公衆衛生関連の教育機関での教育制度を充実させること(Marketing Public Health “Education”)、そして、育てた公衆衛生の専門職を、公衆衛生やヘルスケアのさまざまな場所に売り込み、彼らの活躍できる場を広げていくことです(Marketing Public Health “professionals”)。

日本や世界の公衆衛生と保健・医療・福祉は常に大きな問題を抱えています。時代により問題は変化し、解決方法も一様ではありません。現在、そして将来の課題と社会のニーズに対応できるChange Agentsを育てるために、私たち帝京SPH自身も変化しながら、これからもトップスクールとして走り続けます。

 

(2022年3月3日 追稿)

Beyond the Crisis, Change and Challenge for Next Decades

帝京SPHは、2020年度に10周年を迎えました。奇しくも、2年前からのCOVID-19のパンデミックにより、世界中の人々、そして、公衆衛生は大きな危機に直面し、私たちは多くの変化が求められました。この大きな危機を乗り越えて、次の10年、そして、その後に向けて、帝京SPHは、挑戦と変化を続けていきます。

 

(2024年4月10日 追稿)

 まだ油断はできないものの、COVID-19という大きな公衆衛生の危機を乗り越え、私たちは、従来とは異なる新しい社会に身を置くことになりました。コロナ禍において、チェンジエージェントの育成を目的とする帝京SPHにとって真価が問われましたし、これからの新しい社会の中でも問われ続けることになります。
 そこで、帝京SPHでは、教育カリキュラムの変革に取り組み、2023年度には専門職学位課程(MPH)、2024年度には博士後期課程(DrPH)の新しいカリキュラムを開始しました。
 帝京SPHは、2011年の設置以降、常にカリキュラムの見直しを行ってきました。2015年には、コンピテンシー基盤型教育と問題解決型アプローチの導入という大きな変革を行いました。今回はこれに続く第2回目の大きな変革です。SPH設置時のカリキュラムから数えると第3版となりますので、“カリキュラム3.0”と呼んでいます。
 カリキュラム3.0は、カリキュラム2.0を基に、現場での実践的な応用実習、コミュニケーション、リーダーシップ、ヘルスポリシー、デーサイエンス、社会疫学などを強化しました。また、このカリキュラムは、米国等のSPHのスタンダードなカリキュラムに準じたものです。アフターコロナの時代に求められる人材育成のための、そして、グローバルスタンダードの公衆衛生教育カリキュラムを掲げ、帝京SPHは公衆衛生教育のフロントランナーとして走り続けます。

 

2024年4月10日
帝京大学大学院公衆衛生学研究科
研究科長 福田 吉治

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