岩澤尚人さん
(2023年度入学 MPH2年コース)
1. 入学前の職業と、どんなことをしていたか簡単に教えてください
私のバックグラウンドは、理学療法士です。民間企業のヘルスケア事業部のマネージャーとして働いていました。具体的には、複数のリハビリテーション施設の管理・運営、オンラインリハビリテーションの新規立ち上げ、法人向け健康支援サービスの企画を担当していました。
2. 帝京SPHへ行こうと考えたきっかけはなんでしたか?
リハビリテーションの現場で日々利用者と向き合う中で、目の前の方に対して一定の価値提供ができていると感じる一方で、その取り組みが社会全体にどのような影響を及ぼしているのかを、科学的に検証できていないことに課題を感じていました。
特に、所属組織で提供しているインフォーマルサービスが、地域社会やその中に暮らすリハビリテーション利用者のQOLにどのように貢献しているのかを客観的に示す手法や枠組みを自分は持ち合わせていませんでした。「一方向的な利用者満足」にとどまらず、「社会的意義やインパクト」をエビデンスに基づいて検証し、普遍的な枠組みの中でその価値を社会に提言していく。この視点とスキルこそが、今後のキャリアにおいて不可欠だと感じ、帝京SPHで学ぶことを決意しました。
3. 帝京SPHで学んでいた期間の職場などでの身分を教えてください
正社員、事業部のマネージャー
4.仕事・家事・子育てなどと学習の両立で工夫していたことがあれば教えてください
(学習面) 移動時間の有効活用:入学直後にタブレットを購入し、通勤・通学中の移動時間に論文を読む、予習を行うなど、学習に充てられる環境を整えました。
(家庭面) 家族会議の実施:家庭内の役割を明確にし、学習に必要な工数(期間・曜日など)を共有することで、家族の理解と協力を得ました。
(仕事面) 大学院での学びを業務へ還元:学業が少なからず業務に影響を及ぼすことは避けられないため、そこで得た知見を新たな形で会社へ貢献することを意識しました。
5. 帝京SPH修了後の進路について教えてください
進路の変更はなく、引き続き現在の民間企業にて働いています。
6. 現在の仕事(活動)で帝京SPHでの学びや経験で生きていることはありますか?
「問題解決型アプローチ」の視点は、現場の実践と制度・社会構造をつなげるうえで大きな武器となっています。臨床研究にとどまらず、構造的な課題を捉え、マクロの視点から介入可能な領域を特定し、関係者を巻き込んだ解決策を立案する力が身につきました。
また、公衆衛生の視点を基盤とした保健政策や社会行動科学(特に健康教育など)は、今後理学療法士がより積極的に関与すべき産業理学療法や地域リハビリテーションの分野において、非常に有益な知見を得る機会となりました。
7. 帝京SPHに入学を検討されている方へのメッセージをお願いします
帝京SPHは、「現場の疑問」を「社会の問い」へと昇華させ、それを科学的に解き明かす力を育ててくれる場所です。中でも特徴的なのは、社会問題を取り上げて分析するだけで終わらず、その結果をもとに政策やプロジェクトを企画・立案し、実施まで一気通貫で取り組む実践的な姿勢が根付いている点です。
つまり、社会における公衆衛生課題の解決を志す方にとって、帝京SPHは強力な土台と跳躍台を与えてくれる最適な環境であることに間違いありません!!