外科
当外科では種々の疾患に対し、それぞれの分野の専門家が中心となったチームで外科治療を行っております。迅速な診断と安全確実な治療を第一に心がけております。具体的に扱う疾患と治療につき、下の表に示してあります。
消化管疾患では古くから内視鏡治療を学会専門医・指導医が行っており、早期癌であれば内視鏡治療で完治する可能性があります。ポリープ切除は数多く手がけております。手術療法では近年、腹腔鏡補助下の手術も積極的に行っており、胃癌、大腸癌で良好な治療成績を残しております。直腸癌や潰瘍性大腸炎の手術では肛門を温存し、人工肛門をつくらない手術治療を推進しており、これは手術後の排便障害に対する内外の知見をもとにしております。肛門温存手術に関してはに詳しく説明
表1をさせていただきます。同時に直腸癌の治療成績も提示してあります。
また、近年の画像診断の進歩をリードする臨床研究も積極的にとりいれ、これは過不足のない手術治療を可能としています。胆嚢の腹腔鏡手術例が多く、新しい診断法を積極的に取り入れる事で術前に個々の患者さんの解剖を十分把握し、術中損傷を減少させる事ができています。画像診断につきましては
こちらをご参照ください。困難な手術とされる膵臓、胆道疾患の外科治療も数多く施行してきており、経験の豊かな分野です。また、総胆管結石をはじめとした胆道疾患では内視鏡治療も積極的に取り入れております。
その他、一般的な虫垂炎やヘルニア（脱腸）手術は随時行っており、これらの疾患も多くこなしております。痔疾患に関しては、近年「切らない内痔核手術
表2」である、硬化剤注射療法も積極的に行っており、認定医が3名常駐しております。複雑痔ろうや裂肛などの診療・外科治療も行っております。何よりも、納得して治療を受けていただくため、十分な説明をさせていただく事を心がけております。セカンドオピニオンも積極的に専門医が受けております。お気軽に相談にいらしてください。
| 肝胆膵外科 | 肝胆膵疾患は、昨年末より新たに3人のスタッフが赴任し、専門医・指導医を含めたチーム体制で診療を行っています。特に切除不能と診断された大腸がん肝転移を切除するといった治療を積極的に行っています。肝臓に関して当科の治療の特色をご紹介しますので、詳しくはこちらをご参照ください。 |
| 消化管疾患 |
| 胃 | 胃癌……内視鏡治療、腹腔鏡下切除、開腹切除 |
| 大腸 | 結腸癌……内視鏡治療、腹腔鏡下切除、開腹切除、化学療法 |
| 潰瘍性大腸炎……腹腔鏡下切除、開腹切除、肛門温存手術 |
直腸癌……内視鏡治療、腹腔鏡下切除、放射線化学療法、開腹切除、肛門温存手術表1
肛門癌……化学放射線治療、手術（人工肛門）
クローン病……腹腔鏡下手術、開腹手術 |
| 食道 | 食道癌……内視鏡治療、腹腔鏡・胸腔鏡下手術、化学放射線治療、手術 |
肝臓・胆嚢・膵臓疾患 |
| 肝臓 | 肝臓癌……開腹切除、焼灼治療 |
| 転移性腫瘍……開腹手術、化学療法、その他の肝臓腫瘍 |
| 胆道 | 胆嚢胆石症……腹腔鏡下切除、一部開腹手術 |
| 総胆管結石症……内視鏡治療、開腹手術 |
| 胆嚢癌・胆管癌……開腹手術 |
| 膵臓 | 膵臓癌……開腹手術、放射線化学療法、膵腫瘍 |
乳腺疾患 |
| 悪性 | 乳癌、悪性葉状腫瘍、その他 |
| 良性 | 乳腺症、嚢胞、乳腺炎、良性腫瘍（線維腺腫、葉状腫瘍、乳管内乳頭腫、嚢胞内腫瘍、過誤腫、その他） |
画像診断（マンモグラフィ、超音波、CT、MRI）と細胞診、組織診によって総合的に診断します。
特にCTの3次元画像構築を駆使した診断に力を入れています。治療には局所治療（手術治療、放射線治療）と全身治療（薬物治療）があります。手術治療は乳房温存手術が主流となっています。以前は乳房温存手術の適応とならなかった大きいしこりの場合でも、術前に化学療法（抗がん剤治療）を行ってしこりを小さくしてから温存手術を行うことがあります。
乳房切除術が必要な場合には形成外科による乳房再建も行っています。
また、センチネル（見張り）リンパ節生検という、がんが最初に転移するリンパ節（センチネルリンパ節）を見つける検査を行っています。センチネルリンパ節に転移が無い場合にはリンパ節郭清（かくせい：腋の下のリンパ節を切除する手術）を省略することができます。それによって術後の回復が早くなり、手術した側の腕にリンパ浮腫（むくみ）が起きる可能性がほとんど無くなります。
全身治療（薬物治療）には化学療法（抗がん剤治療）と内分泌治療（ホルモン治療）、分子標的治療があります。腫瘍の病理組織検査（顕微鏡検査）の結果によってその人に合った治療法を行います。基本的に世界標準のガイドラインに沿った治療を行っています。 |
その他の疾患 |
| 痔疾患表2 | 内痔核……注射療法、切除
痔ろう、裂肛 |
ヘルニア
虫垂炎 |
| 表1．肛門温存手術について 詳細説明 |
1． 直腸癌外科治療－肛門温存手術について
2． 直腸癌手術の治療成績
3． 人工肛門を作成しない、究極の肛門温存手術（ISR）の手術成績
4． 直腸癌手術後の排便障害の回避について
4-1．手術に伴う、新直腸（neorectum）運動能の悪化を回避します
4-2．術中の肛門括約筋障害を回避します
4-3．理想的な形状の新直腸（neorectum）を作ります
5． 人工肛門を作成しない、骨盤内臓全摘術とその手術成績
5-1．従来の骨盤内臓全摘術と、「人工肛門のない骨盤内臓全摘術」
5-2．人工肛門のない骨盤内臓全摘術の手術成績
6． 腹腔鏡補助下大腸手術の治療成績
7． 肛門癌の放射線化学療法 |
| 表2．痔（内・外痔核）とは 詳細説明 |
1． 痔の発生について
1-A．血管起源説とは
1-B．血管過形成説とは
1-C．支持組織減弱説とは
2． 痔の種類について
2-A．内痔核とは
2-B．外痔核とは
①急性期の痔核
a：血栓性痔核
b：疳頓痔核
②血管性痔核と粘膜性痔核
a：血管性痔核
b：粘膜性痔核
3． 痔の進行度とは
3-A．St Marks Hospitalの分類
3-B．Goligherの分類
4． 痔の治療方法について
4-A．保存的治療
4-B．手術治療
①結紮切除術
②ゴム輪結紮法
③PPH法
④注射療法
a：痔核硬化療法
b：四段階注射法
5． 当院での治療方針について |
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| 胆石症について 詳細説明 |
1. 胆石症とは
2. 胆石症の主な症状
3. 胆石症の検査法と診断法
4. 胆石症の治療法
1）胆嚢結石の治療法
（1）結石溶解療法
（2）胆嚢摘出手術：「腹腔鏡手術」
2）胆管結石の治療
※きずの小さな腹腔鏡手術の工夫 |
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担当医
教授 幸田 圭史 |
| 出身大学 | 千葉大学 昭和59年卒 医学博士 |
| 専門分野 | 小腸・大腸・肛門疾患の診断と治療 |
| 専門医等 | 日本外科学会認定医・専門医・指導医
日本消化器外科学会認定医・専門医・指導医・評議員
日本消化器内視鏡学会専門医・指導医
日本大腸肛門病学会専門医・指導医・評議員
日本内視鏡外科学会技術認定医（消化器一般外科）
日本がん治療認定医機構がん治療認定医・暫定教育医
消化器がん外科治療認定医
日本臨床腫瘍学会暫定指導医
日本臨床外科学会評議員
日本画像医学会評議員
日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会理事 |
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教授 田中 邦哉 |
| 出身大学 | 福島県立医大 平成元年卒 医学博士
横浜市立大学医学部客員教授 |
| 専門分野 | 消化器外科、肝臓外科、腫瘍外科、肝移植外科 |
| 専門医等 | 日本外科学会認定医・専門医・指導医
日本消化器外科学会認定医・専門医・指導医
臨床腫瘍学会暫定指導医
日本消化器病学会専門医
日本がん治療認定医機構暫定教育医
消化器がん外科治療認定医
日本肝胆膵外科学会高度技術指導医
日本消化器外科学会評議員
日本肝胆膵外科学会評議員
日本臨床外科学会評議員
日本外科系連合学会評議員
日本外科病理学会評議員
日本外科感染症学会評議員
日本消化器外科学会編集委員会幹事 |
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准教授 首藤 潔彦 |
| 出身大学 | 千葉大学 平成3年卒 医学博士 |
| 専門分野 | 食道・胃疾患の診断と治療、消化器画像診断、腹部インターベンショナルラジオロジー |
| 専門医等 | 日本外科学会認定医・専門医・指導医
日本消化器外科学会認定医・専門医・指導医
日本消化器病学会専門医
日本食道学会食道科認定医・専門医
日本食道学会食道外科専門医
日本がん治療認定機構がん治療認定医・暫定教育医
消化器がん外科治療認定医
医師臨床研修指導医
日本消化器外科学会評議員
日本臨床外科学会評議員
日本腹部救急医学会評議員
日本食道学会評議員 |
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講師 松尾 憲一 |
| 出身大学 | 高知医科大学 平成6年卒 医学博士 |
| 専門分野 | 肝胆膵外科 |
| 専門医等 | 日本外科学会認定医・専門医・指導医
日本消化器外科学会認定・専門医・指導医
日本肝胆膵外科学会高度技能指導医
日本胆道学会指導医
日本がん治療認定医機構暫定教育医
消化器がん外科治療認定
日本肝胆膵外科学会評議員 |
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講師 小杉 千弘 |
| 出身大学 | 千葉大学 平成8年卒 医学博士 |
| 専門分野 | 大腸癌の診断治療 |
| 専門医等 | 日本外科学会認定医・専門医・指導医
日本消化器外科学会専門医・指導医
消化器がん外科治療認定医
日本がん治療認定医機構がん治療認定医・暫定教育医
日本ストーマ排泄リハビリテーション学会ストーマ認定士
日本大腸肛門病学会専門医・指導医
日本消化器内視鏡学会専門医
日本外科系連合学会評議員
日本腹部救急医学会評議員
日本ヘルニア学会評議員
日本臨床外科学会評議員
日本内視鏡外科学会評議員
小切開鏡視外科学会評議員 |
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講師 森 幹人 |
| 出身大学 | 東京医科歯科大学 平成9年卒 医学博士 |
| 専門分野 | 上部消化管（食道・胃）外科 |
| 専門医等 | 日本外科学会認定医・専門医
日本消化器外科学会専門医
消化器がん外科治療認定医
日本がん治療認定医機構がん治療暫定教育医 |
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助教 平野 敦史 |
| 出身大学 | 帝京大学 平成15年卒 |
| 専門分野 | 外科一般 |
| 専門医等 | 日本外科学会専門医
マンモグラフィ検診精度管理中央委員会認定読影医
日本消化器内視鏡学会専門医
日本消化器病学会専門医
日本ストーマ排泄リハビリテーション学会ストーマ認定工 |
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助教 廣島 幸彦 |
| 出身大学 | 浜松医科大学 平成15年卒 医学博士 |
| 専門分野 | 外科一般 |
| 専門医等 | 日本外科学会専門医
米国癌治療学会（ASCO）アクティブメンバー
米国癌学会（AACR）アクティブメンバー |
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助教 遠藤 悟史 |
| 出身大学 | 千葉大学 平成16年卒 医学博士 |
| 専門分野 | 外科 |
| 専門医等 | 外科専門医
消化器外科専門医
消化器がん外科治療認定医
がん治療認定医
TNT研修終了 |
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助手 菊池 祐太郎 |
| 出身大学 | 東北大学 平成20年卒 |
| 専門分野 | 外科 |
| 専門医等 | 外科専門医 |
～2013年度～
診療実績
手術数
大腸癌105、胃癌42、乳癌47、膵癌8、肝癌40
検査
上下部内視鏡検査、内視鏡下治療、ERCP、レントゲン造影検査など
研究について
英文論文
・Maruyama T, Murata S, Takahashi K, Tamura T, Nozaki R, Ikeda N, Fukunaga K, Sasaki R,
Ohkochi N
：Platelet transfusion improves liver function in patients with chronic liver disease and
cirrhosis
Tohoku J.Exp. Med., 2013,229: 213-220 (IF1.367)
・Shiragami R, Murata S, Kosugi C, Tezuka T, Yamazaki M, Hirano A, Yoshimura Y, Suzuki M,
Shuto K, Koda K
：Enhanced antitumor activity of cerlenin combined with oxaliplatin in human colon cancer
cells
International Journal of oncology, 43: 431-438 (IF 2.797)
・Murata S, Yamazaki M, Kosugi C, Hirono A, Yoshimura Y, Shiragami R, Suzuki M, Shuto K,
Koda K
：Hiatal herunia following total gastrecotmy with Roux-en-Y reconstruction
Hernia, 06 August 2013, Springer (IF1.693)
・Sagara Y, Sato K, FukumaE, Higaki K, Mizutani M, Osaki A, Takano T, Tokuda Y, Ohno S,
Masuda N, Suzuki M, Saeki T
：The efficacy and safety of FSK0808, Filgrastim biosimilar: A multicenter, non-randomized
study Japanese patients with breast cancer
Japanese Journal of Clinical Oncology, doi: 10,1093, 2013 (IF 2.063)
・Murata S, Shiragami R, Kosugi C, Tezuka T, Yamazaki M, Hirano a, Yoshimura Y, Suzuki M,
Shuto K, Ohkohchi N, Koda K
：Anitumor effect of 1, 8-cineole againso colon cancer
Oncology Reports 30: 2647-2652 2013 (IF 2.08)
・Itagaki R, Koda K, Yamazaki M, Shuto K, Kosugi C, Hirano A, Arimitsu H, Shiragami R,
Yoshimura Y, Suzuki M
：Serotonin (5-HT3) receptor antagonists for the reduction of symptoms of low anterior
resection syndrome
Clin.Exp.Gastroenterol 2014(7):47-52.
・Saito T, Seike K, Koda K, Oda K, Shida T, and Miyazaki M. (2013)
：Effect of intravenous cyslosporin on the surgical treatment for acute ulcerative colitis.
J Gastroenterol and Hepatology Res 2(8): 479-482. (IF 3.325)
・ Tezuka T, Hamada C, Ishida H, Ooshiro M, Matsuoka H, Kawasaki S, Mishima H, Maeda K,
Sakamoto J, Koda K. (2013)
：Phase II clinical study of modified FOLFOX7 (intermittent oxaliplatin administration) plus
bevacizumab in patients with unresectable metastatic colorectal cancer—CRAFT
study Invest New Drug( in press IF 3.357)
・Tanaka K, Endo I
：ALPPS: Short-term outcome and functional changes in the future liver remnant.
Ann Surg (in press IF 6.329)
・Tanaka K, Nakagawa K, Yabushita Y, Hiroshima Y, Matsuo K, Ota M, Ichikawa Y, Taguri M,
Tanabe M, Koda K, Endo I
：Reversal of attachment to or invasion of major intrahepatic vessels by colorectal liver
metastases according to prehepatectomy chemotherapy regimen.
Surgery (in press. IF 3.373)
邦文論文
・小杉千弘、幸田圭史
：新人ナース必携 消化器のしくみがわかる・術後の変化がわかる
特集5 大腸消化器外科NURSING 18(4): 324-329メディカ出版 東京
・村田聡一郎、山崎将人、山崎一人、小杉千弘、首藤潔彦、幸田圭史
：胃癌術後再発との鑑別に苦慮した後腹膜繊維症の1例
日本臨床外科学会雑誌 74(8)：254-257 2013 日本臨床外科学会 東京
・鈴木正人
：39．乳癌
知っておきたい病気100 第2版 日本薬学会編 101-103 東京化学同人 東京
医師主導型多施設共同研究（研究代表者：幸田圭史）
1．大腸癌Stage III 治癒切除例に対する術後補助化学療法としてのTS-1療法とUFT療法の探索的臨床研究(C000000346, 2006/3/2) 論文執筆中
2．Stage III大腸癌治癒切除例に対するUFT/LVとTS-1療法のランダム化第II相試験(UMIN 000001560) データ解析中
3．治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌患者に対するmodified(m)FOLFOX7間欠投与＋ベバシズマブ(BV)療法の併用第II相臨床試験-CRAFT試験-(UMIN000002354, 2009/8/20) (Invest New Drug 2014 in press IF 3.357)
4．進行大腸癌に対するCapeOx間欠投与＋ベバシズマブ療法の多施設共同第Ⅱ相臨床試験(VOICE trial)(UMIN000005732, 2011/6/7) データ解析中
5．StageIII大腸癌治癒切除例に対するUFT/LV療法とTegaFox療法のランダム化第II相試験(UMIN 000007696) データ集積中