診療科・担当医紹介
ぺインセンター

2016年6月から当院にてペインクリニック外来を開設致しました。疼痛治療の専門医により難治性疼痛、慢性疼痛の診療を行なっています。薬物療法(内服薬、点滴)や近赤外線照射、神経ブロックなどを組み合わせて治療致します。痛みは身体の異常を知らせる警告となり、痛みを契機としてその原因となる病気が診断され、治療が行われます。原因疾患の治癒とともに多くの痛みは消失しますが、痛みだけが長く続くこともあります。
痛みは大別すると、侵害受容性疼痛(炎症、ケガ、手術の傷などによる)と神経障害性疼痛(脳、脊髄、末梢神経の病変による)の二つに分類されますが、心理的な要因にも影響されます。帯状疱疹による痛みのように、侵害受容性疼痛と神経障害性疼痛が混ざった痛みもあります。また、複合性局所疼痛症候群や線維筋痛症などの原因がよく分からない疼痛疾患もあります。
痛みが続いていると痛みを感じ易くなる感作という現象が起こる事があります。体の痛い部分の末梢神経のレベルで起きたり、より中枢の脊髄や脳のレベルで起こる事もあります。ペインクリニックでは痛みを取り除きこうした悪循環を遮断し、日常生活に戻れるようにお手伝い致します。
ペインクリニックと聞くと、痛い注射をする所、と連想されるかも知れませんが、ブロック注射を延々と続ける訳ではありません。痛みが強い時には、神経ブロックは有効な治療法です。近年、痛みの 性質に応じた様々な薬が開発されています。従来からあった解熱鎮痛剤として広く使われて来た薬の他 に、神経障害性疼痛に効く薬やがんの痛みにも用いる麻薬系(オピオイドと総称される)の薬が加わりました。これらの鎮痛薬は眠気、だるさを伴う事もありますので、あまりたくさん鎮痛薬を内服すると 生活に支障が出る恐れがあります。始めは神経ブロックで痛みを軽減しておいて、ある程度軽くなった ら神経ブロックはやめて、鎮痛薬を内服して普通に体を動かして生活する。“運動”することも痛みに効果があることが明らかにされています。
ペインクリニック外来では、薬物療法や神経ブロックなどで痛みを軽減して、やがて末梢神経や脊髄、脳の“痛い”という記憶が薄れて、遂には痛みがなくなって治ってしまう。こうした経過を目標にして治療を行います。

神経ブロック
・星状神経節ブロック
・硬膜外ブロック
・仙骨ブロック
・三叉神経ブロック
・肩甲上神経ブロック
・肋間神経ブロック
・トリガーポイント注射など

ペインクリニックの対象となる疾患:
線維筋痛症、帯状疱疹急性期痛、帯状疱疹後神経痛、頭痛・顔面痛、三叉神経痛、外傷や手術後の慢性痛、複合性局所疼痛症候群(CRPS)、神経障害性疼痛、糖尿病性神経症など

(日本線維筋痛症学会診療ネットワーク参加)
線維筋痛症は難治性の疼痛疾患で、患者さんは痛みを感じ易い状態になっています。薬物療法と近赤外線照射を中心に治療を行います。治療法、診断法の研究も行っています。線維筋痛症では通常の血液検査やレントゲン、MRIなどの画像検査では異常が検出されないことが多いです。当科では安静時機能的MRI解析による線維筋痛症の診断、病態解明の研究を行っています。脳病変の検索のために通常の脳MRI撮影を行い、そのデータを特殊な方法でコンピューター解析して、脳の機能的な状態を評価します。ご希望に応じて臨床研究に参加して頂きます。
線維筋痛症を疑う方は紹介状がなくてもご相談ください。

外来 月曜日
現在入院治療は行っておりません。


担当医
教授 青江 知彦
出身大学 千葉大学 1987年卒 医学博士
専門分野 疼痛学
麻酔科学
専門医等 日本専門医機構専門医麻酔科領域
日本ペインクリニック学会専門医
日本麻酔科学会認定指導医
麻酔科標榜医

~2020年度~
診療実績

患者数:626名
線維筋痛症、慢性疲労症候群、帯状疱疹後神経痛、神経障害性疼痛、骨格筋系疼痛、術後疼痛障害 三叉神経痛、外傷性疼痛障害、複合性局所疼痛症候群、リュウマチ性多発筋痛症、癌性疼痛、先天性無痛無汗症など
処置:薬物療法(内服、点滴)、神経ブロック (硬膜外ブロック、腕神経叢ブロック、肋間神経ブロック、肩甲上神経ブロックなど)、近赤外線照射 (スーパーライザー) など

研究について

臨床研究
  1. 「慢性疼痛疾患における痛覚過敏形成機構の解明」(帝倫19-077号 2019/07/17 帝京大学医学系研究倫理委員会承認、UMIN000037712; 20190817) 線維筋痛症などの疼痛疾患を対象として、なぜ全身に痛みを感じるのかを脳MRI撮影のデーターをコンピュー ターで処理して神経系の機能を客観的に解析する研究です。当院放射線科との共同研究。
  2. 「慢性疼痛疾患における遺伝学的背景の探索」 (帝遺倫20-002号 2020/07/21帝京大学医学系研究倫理委員会承認、UMIN000042227; 20201201) 先天性無痛無汗症などの疼痛関連疾患の遺伝学的背景を探索する研究です。
  3. 「手術中の鎮痛薬投与が術後の疼痛に及ぼす影響の検討」 (帝倫18-074号2018/10/5 帝京大学医学系研究倫理委員会承認 , UMIN000034960; 20181121) 婦人科手術患者を対象として、全身麻酔中の鎮痛薬の投与量や投与時期が術後の痛みの程度に影響を及ぼすかどうか検討する研究です。当院産婦人科との共同研究。
基礎研究
  1. 線維筋痛症やオピオイド耐性などの疼痛疾患の新たな治療薬の研究。科学研究費補助金 基盤研究(C)(一般) 課題番号 17K11114 代表 青江知彦 「オピオイド鎮痛機構の小胞体分子シャペロンによる制御」 2017-2021年度
  2. 小胞体ストレスと線維筋痛症やオピオイド耐性などの疼痛疾患との関連を、マウスモデルや培養細胞を用いて分子生物学的に研究する。科学研究費補助金 基盤研究(C)(一般) 課題番号21K09003代表 青江知彦 「オピオイド受容体細胞内情報伝達と小胞体ストレス」2021-2024年度

学会発表

  • Aoe T, Hirabayashi K, Okuyama Y, Komita M, Jin H, Kokubunn H, Saito O. 「ER stress contributes to the development of morphine tolerance」International Association for the Study of Pain (IASP) 16th World Congress on Pain. 2016/9/27 Yokohama
  • Hisayo Jin, Mari Komita, and Tomohiko Aoe「Declines in Protein Quality Control and External Insults Promote Cognitive Dysfunction」Society for Neuroscience, Annual Meeting, 2018, 11, 04, San Diego, USA
  • Hiroshi Kokubun, Hisayo Jin, Mari Komita, Mitsuo Aono and Tomohiko Aoe 「Conflicting Actions of Inhaled Anesthetics, Neurotoxicity and Neuroprotection」 2019 Annual Meeting of the American Society of Anesthesiologists, October 22, 2019、Orlando、USA
  • 青江知彦・川中涼子・國分宙・大曽根文雄・原啓・横川徳造 「慢性疼痛疾患における痛覚過敏形成機構の探索」 Exploration of the mechanism of hyperalgesia in chronic pain disease 2021年第68回日本麻酔科学会
  • 川中涼子・佐久間承子・國分宙・田垣内祐吾・梁善光・青江知彦 「全身麻酔下での手術中のオピオイド投与が術後痛に及ぼす影響の検討」 Effects of intraoperative opioid administration under general anesthesia on postoperative pain 2021年第68回日本麻酔科学会
  • Tomohiko Aoe, Ryoko Kawanaka, Takeshi Akiba. 「A woman who complains of pain throughout the body without sensing the usual nociceptive pain.」 2021年第68回日本麻酔科学会

論文

  • 青江知彦、「小胞体ストレス、細胞、マウスから臨床応用へ」 帝京医学雑誌 2016, 39 (5) :165-173
  • Jin H, Komita M, Koseki H, Aoe T. Sublethal endoplasmic reticulum stress caused by the mutation of immunoglobulin heavy chain-binding protein induces the synthesis of a mitochondrial protein, pyrroline-5-carboxylate reductase 1. Cell Stress Chaperones. 2017 Jan;22(1):77-85.
  • Jin H, Komita M and Aoe, T. The Role of BiP Retrieval by the KDEL Receptor in the Early Secretory Pathway and its Effect on Protein Quality Control and Neurodegeneration. Frontiers in Molecular Neuroscience 2017, 17;10:222. doi: 10.3389/fnmol.2017.00222.
  • Jin H, Komita M, Aoe T. Decreased Protein Quality Control Promotes the Cognitive Dysfunction Associated with Aging and Environmental Insults. Frontier in Neuroscience 2018 Nov 1;12:753. doi: 10.3389/fnins.2018.00753.
  • Kokubun H, Jin H, Aoe T. Pathogenic Effects of Impaired Retrieval between the Endoplasmic Reticulum and Golgi Complex. International Journal of Molecular Sciences, 2019 Nov 9;20(22). pii: E5614. doi:10.3390/ijms20225614. 2
  • Kokubun H, Jin H, Komita M, Aoe T. Conflicting Actions of Inhalational Anesthetics, Neurotoxicity and Neuroprotection, Mediated by the Unfolded Protein Response. International Journal of Molecular Sciences, 2020 10;21(2). pii: E450. doi: 10.3390/ijms21020450.
  • Aoe T. Pathological Aspects of COVID-19 as a Conformational Disease and the Use of Pharmacological Chaperones as a Potential Therapeutic Strategy. Frontier in Pharmacology. 2020, 11:1095. doi: 10.3389/fphar.2020.01095
  • Youta Okuyama, Hisayo Jin, Hiroshi Kokubun and Tomohiko Aoe. Pharmacological Chaperones Attenuate the Development of Opioid Tolerance. International Journal of Molecular Sciences 2020, 21 (20), 7536; https://doi.org/10.3390/ijms21207536
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