①共通科目
公衆衛生の5つのコア領域を統合し、実践と教育・研究を行う実施組織のリーダーとして適切かつ迅速に対応することのできる管理職・指導者としての能力等を修得するためには、研究者・科学者としての思考、リーダーシップ、コミュニケーション能力等に優れていることが重要です。
そこで、選択する専門分野にかかわらず、共通科目として、「リーダーシップ・マネジメント特論」「基礎疫学特論」、「基礎生物統計学特論」、「健康行動科学特論」、「保健政策・医療管理学特論」、「産業環境保健学特論」、「公衆衛生倫理学特論」の必修科目を設けています。また、非医療系の入学者に対しての配慮から「医学基礎・臨床医学特論」の選択科目を設けています。
②専門科目(疫学・生物統計学分野)
疫学・生物統計学は科学的実証研究のベーシックサイエンスとしてその両輪をなすものです。博士後期課程では、Change Agentとして、適切な疫学的研究デザインのもとに、そのデザインに応じた生物統計学の分析を行い、エビデンスを構築していくことができる人材の育成を目的とします。テクニカルサイエンスのもとに公衆衛生学分野の知識・技能を有し、研究者・科学者としての思考、リーダーシップに優れていること、交渉能力といったコミュニケーション能力が高いことが重要です。
本科目区分の教育目標
③専門科目(産業環境保健学分野)
博士後期課程の教育内容として、環境産業保健学分野の実践性からケーススタディを重視し、実例とその対処を考える中で公衆衛生学分野の知識・技能を有し、研究者・科学者としての思考、リーダーシップに優れていること、交渉にあたっての高いコミュニケーション能力があることが重要なため、講義および演習ではインタラクティブな教員・学生との連携に重点を置きます。
本科目区分の教育目標
④ 専門科目(保健政策・医療管理学分野)
日本では、人口構造や経済環境が変化する中で、増加する一途の医療費の問題、社会保障制度など保健医療制度の見直しは喫緊の課題です。さらに、新興再興感染症や災害への取り組みなどの危機管理の点からも保健医療政策が果たすべき役割は大きい。国際的にみても、現在は人口の高齢化や疫学転換と呼ばれる疾病構造の変化が起こっており、高齢社会や非感染性疾患の対策を国際機関も主導しています。社会問題の中でも特に人々の生活や生命に直結する保健医療政策での取り組みは、人々への説明責任が問われています。その際に事実をデータで実証し、論理的に政策を検証して社会の変革に資する学術界の貢献に対して、高い期待が寄せられています。
医療管理学では、医療経済学、医療経営学の知識とともに、医療の質を向上させながらも経営の効率化、臨床データの有効活用、医療安全の確保等が求められています。これを実現するためには、各種医療と経営情報を分析する能力と多業種に説明する力が求められます。
本科目区分の教育目標
⑤特殊研究
特殊研究は専門科目として設けられており、その目的は「現実の保健医療問題の改善・解決や人々の健康水準の向上を図るという公衆衛生課題に対する具体的な成果を達成し、またそれを達成するための能力(コンピテンシー)、ならびに学位論文の作成能力を身に付ける」ことにあります。
すなわち、本科目では学位の申請に先立って申請者がそのための能力水準を満たしているかの評価を実施することを主眼としています。具体的には、科目責任者(=研究指導教員)によりコンピテンシー基盤型教育と問題解決型アプローチの考え方に沿って在学期間中( 1 年次~ 3 年次)に継続的な指導が行われるとともに、本研究科内に設置される内部審査会による計画審査、中間報告会、最終審査により、学位論文審査前の評価が行われます。
本博士後期課程では、「疫学・生物統計学特殊研究」「産業環境保健学特殊研究」「保健政策・医療管理学特殊研究」の 3 つの科目を設けており、学生はいずれか1つの分野の特殊研究を選択(分野指定科目)する必要があります。